バヤル(読み)ばやる(その他表記)Celal Bayar

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バヤル」の意味・わかりやすい解説

バヤル
ばやる
Celal Bayar
(1883―1985)

トルコの政治家。トルコ西部のブルサ県ウムルベイに生まれる。聖職者である父親から初等・中等程度の教育を受ける。その後、ドイツ・オリエント銀行ブルサ支店に勤務する。1907年「統一と進歩委員会」(いわゆる青年トルコ党)に入党ケマル・パシャケマル・アタチュルク)の下で祖国解放・独立戦争に従軍する。1920年4月トルコ大国民議会の議員に選出され、国民経済相(1921)、建設・移住相(1923)を歴任。退官して1924年にトルコ初の民間銀行トルコ実業銀行Türkiye s Bankasを設立して総裁就任する。1932年政界に復帰して国民経済相(1932)、首相(1937年11月~1939年1月)を務める。この間、経済開発五か年計画の推進に努める。1945年共和人民党を離党してアドナン・メンデレスなどとともに民主党を創設して総裁に就任する。1950年5月の総選挙で同党が大勝し、第3代大統領に選出される(在任1950年5月22日~1960年5月27日)。トルコ初の文官出身の大統領。1960年5月の軍事クーデターで逮捕され、死刑判決を受ける。その後、無期懲役に減刑され、1964年末釈放、1966年恩赦。1985年老衰のため死去

[長場 紘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「バヤル」の意味・わかりやすい解説

バヤル
Celal Bayar
生没年:1883-1986

トルコの政治家,共和国第3代大統領。在任1950-60。西部アナトリアのゲムリキで生まれる。ブルサ農業銀行で働きながらフランス学校で学ぶ。青年トルコ運動をすすめる〈統一と進歩委員会〉に加入,1908年以降第2次立憲体制下でアイドゥン支部長となる。ケマル・アタチュルク民族解放運動に参加し,第1回大国民議会選出議員。1924年興業銀行頭取就任。32年閣僚となり,37-39年首相となる。45年共和人民党を離党し,翌年メンデレスとともに民主党を結成。50年大統領に選出される。60年クーデタにより逮捕。死刑判決を受けるも無期に減刑され,特赦により釈放。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バヤル」の意味・わかりやすい解説

バヤル
Bayar, Celâl

[生]1883.5.15. ウムールベイ
[没]1986.8.22. イスタンブール
トルコの政治家。第3代大統領 (1950~60) 。ブルサのフランス系の学校を卒業後,ドイツ系のオリエント銀行に勤務。在職中から政治結社「青年トルコ」の活動に参加し,1908年の青年トルコ革命ののち,「青年トルコ」組織のイズミル支部の書記をつとめる。ケマル・アタチュルクの民族解放運動でも実戦に参加。オスマン政府の最後のイズミル選出国会議員でもあったが,のち第1回大国民議会に加わり,21年国家経済相,24年には実業銀行を創立し,頭取として国の経済活動に協力した。 32年再び国家経済相,37年首相に就任。 46年民主党を結成し,50年の総選挙で同党が第1党となると大統領となった。 60年の軍事クーデターにより逮捕されたが,63年に釈放。その後も公正党元老として政治的発言力を有した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバヤルの言及

【結膜】より

…これらの結膜炎のうち,伝染力の強い点から重要なのはウイルスによるものである。アデノウイルス8型の感染による流行性角結膜炎epidemic kerato‐conjunctivitisは,俗に〈はやり目〉と呼ばれるもので,5~14日の潜伏期を経て発症し,強い充血,目やにをもたらし,耳前リンパ節がはれる。乳幼児では滲出物が白い偽膜をつくる。…

【目∥眼】より

…これは劣悪な栄養と過酷な労働に起因して発生した。このほか病目(やみめ),はやり目といわれる急性・慢性結膜炎,ただれ目といわれる眼瞼縁炎,星目,目星といわれるフリクテン,打目(うちめ),突目(つきめ)などの外傷,あるいはものもらい,目いぼといわれる麦粒腫,それにトラコーマ,虹彩炎,翼状片,緑内障,弱視など,江戸時代の眼病は多彩をきわめていた。また江戸時代にはおよそ7万5000人以上の盲人がいたといわれ,疫病や栄養失調のために失明し,彼らは当道(とうどう)や瞽女(ごぜ)などの集団を形成していた。…

※「バヤル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android