設楽(読み)したら

改訂新版 世界大百科事典 「設楽」の意味・わかりやすい解説

設楽[町] (したら)

愛知県北東部北設楽郡の町。2005年10月旧設楽町と津具(つぐ)町が合体して成立した。人口5769(2010)。

設楽町中西部の旧町。北設楽郡所属。人口5305(2000)。美濃三河高原上にあり,豊川の支流寒狭(かんさ)川上流域に位置する。段戸(だんど)山(1152m)など標高1000m級の山々に囲まれ,天竜川,矢作(やはぎ)川,豊川の水源地帯をなす。中央部を南北に伊奈街道(国道257号線)が通り,田口は江戸時代宿場町として栄えた。国鉄飯田線本長篠から豊橋鉄道田口線が通じていたが,1968年廃線となった。段戸山麓の駒ヶ原はかつて三河馬の放牧場であったが,第2次大戦後開拓農民が入植し,高冷地野菜の栽培を中心に農業が行われる。北部を北流する名倉川沿いには水田がひらかれ,トマトの栽培も盛ん。杉,ヒノキモミなどの木材や木製品の生産も行われる。西部は愛知高原国定公園,段戸高原県立自然公園に,東部は天竜奥三河国定公園に指定され,キャンプ場や添沢,塩津の鉱泉がある。

設楽町北東部の旧村。北設楽郡所属。人口1654(2000)。木曾山脈南端の大入(おおにゆう)川上流域を占める山村で,北は長野県に接する。林業米作が盛んであるが,近年シクラメンや高冷地野菜の栽培も行われる。武田信玄軍用金をまかなったといわれる津具金山跡や縄文時代大根平遺跡鞍船遺跡があり,津具民俗資料館には津具の山樵用具(重要民俗資料)が展示されている。天竜奥三河国定公園に属する茶臼山一帯は1978年茶臼山高原道路(2008年無料開放)が開通して観光開発が進められている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「設楽」の意味・わかりやすい解説

設楽(町)
したら

愛知県北東部、北設楽郡にある町。豊川(とよがわ)支流寒狭(かんさ)川の上流に位置する。1956年(昭和31)田口町と段嶺(だみね)・名倉の2村および振草(ふりくさ)村の一部が合併して改称。2005年(平成17)津具村(つぐむら)と合併。中心集落の田口は伊那(いな)街道の旧宿場で、近隣の買い物町。国道257号、420号、473号、茶臼(ちゃうす)山高原道路が走り、1968年豊橋鉄道田口線廃止以後はバス交通に依存している。添沢(そえざわ)、塩津両温泉もある(添沢温泉は2011年に温泉施設が営業を終了)。三河山地の主峰鷹ノ巣山(段戸(だんど)山とも。1153メートル)の麓(ふもと)の段戸裏谷(うらだに)、岩古谷(いわごや)などの観光地もあり、東海自然歩道のコースになっている。民俗芸能の宝庫で、田峰の田楽(だみねのでんがく)(国の選択無形民俗文化財)、三都橋(みつはし)の参候祭(さんぞろまつり)(県指定無形民俗文化財)、名倉の「棒の手」などがある。郡下の花祭とともに貴重である。林業、高原野菜の栽培が中心であるが、若者の流出で過疎化現象が著しい。段戸山の一帯は段戸高原県立自然公園に指定されている。面積273.94平方キロメートル、人口4437(2020)。

[伊藤郷平]

『『設楽町誌』全6巻(1996~2005・設楽町)』


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百科事典マイペディア 「設楽」の意味・わかりやすい解説

設楽[町]【したら】

愛知県東部,北設楽郡の町。美濃三河高原の東部にあり,北端は長野県に接する。主集落の田口は,伊奈街道(国道257号線)の旧宿場町。農林業を営み,米,野菜を産する。製材や淡水魚の養殖も行う。黒田ダム,鷹ノ巣山(1153m),茶臼山(1416m)などがある。花祭,田峰(だみね)観音の田楽は有名。2005年10月北設楽郡津具村を編入。273.94km2。5769人(2010)。

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