パッサカリア(読み)ぱっさかりあ(英語表記)passacaglia イタリア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パッサカリア」の意味・わかりやすい解説

パッサカリア
ぱっさかりあ
passacaglia イタリア語

17世紀のスペインイタリアで流行した舞曲バロック時代に純器楽曲としてしだいに様式化された。遅い三拍子で、4~8小節の主題(多くの場合短調)が全曲を通じて反復される変奏曲形式をとる。主題はおおむね固執低音(バッソ・コンティヌオ)としてバスに置かれるが、曲中で上声部に移されることもある。シャコンヌパッサカリアに類似しているが、主題旋律の反復より、その旋律の基礎をなす一定の和声パターンの反復を中心にしている。このパッサカリアは、バロック時代にはとくにドイツとフランスを中心に作曲された。ドイツではオルガン用に書かれることが多く、なかでもJ・S・バッハのハ短調の作品(BWV582)は有名である。また、後の時代ではブラームスの交響曲第四番の最終楽章(作品98。1884~85)やウェーベルンの作品(作品1。1908)などが知られている。

[寺本まり子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パッサカリア」の意味・わかりやすい解説

パッサカリア
passacaglia

(1) スペインやイタリアの古い舞曲で,ゆるやかな3拍子のもの。シャコンヌとともにバロック音楽の一形式で,この両者の間には混同が多いが,その区別については完全な定説はない。 (2) スペインで,本来は町の一軒一軒をめぐる小走りの踊るような行進をさし,音楽も2拍子の簡単な行進曲を用いた。やがて宮廷に採用され,4分の3拍子のゆるやかな,滑る動きが特徴の踊りとなった。サラバンドやシャコンヌと同様,16世紀後半にスペインからイタリア,17~18世紀にはフランスのルイ 14世時代の宮廷で,パサカイユとも呼ばれて流行した。

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