日本大百科全書(ニッポニカ) 「パッフ」の意味・わかりやすい解説
パッフ(Johann Friedrich Pfaff)
ぱっふ
Johann Friedrich Pfaff
(1765―1825)
ドイツの数学者。シュトゥットガルトに生まれ、ゲッティンゲン、ベルリンの大学に学んだ。1788~1810年ヘルムシュテット大学数学教授を務めたが、その学生のなかにガウスがいた。1810年以降ハレ大学教授。
とくに偏微分方程式の研究で知られ、彼の名を冠してよばれる方程式を研究し、その解に対して成り立つ関係を証明した(1814~1815)。その重要性は1827年にK・ヤコービによって指摘され、この関係式を積分する問題はヤコービの命名で「パッフの問題」といわれるが、微分方程式の幾何学的な理論やその応用に重要であり、また力学や熱力学などの物理学や工学との関連でも役割を担ったものである。
[藤村 淳]
パッフ(Phillip Pfaff)
ぱっふ
Phillip Pfaff
(1711―1766)
ドイツの歯科医学者。プロイセンのフリードリヒ大王(在位1740~1786)の歯科侍医であった。その著書『人の歯とその疾患論』Abhandlung den Zähnen des menschlichen Körpers und deren Krankheitenは1756年に出版され、解剖・生理・病理・治療・歯科補綴(ほてつ)法のすべてを記載し、ドイツの歯科医学の発達に大きく貢献した。歯髄を保護するいわゆる直接覆髄法を創案した。また、ろうで印象採得を行い、石膏(せっこう)を注入して模型をつくることを考案し、歯科補綴学に新しい分野を開拓した。ドイツにおける近世歯科医学の鼻祖として尊敬されている。
[本間邦則]