パパイア科の軟質の木部を有する草的な木本植物。若葉と幼果は野菜に,熟果は果物として利用される。乳液から採取されるタンパク質分解酵素パパインpapainは,ビールの清澄剤や肉類の軟化剤に重用されている。茎は太く直立し,あまり分枝せず,高さ3~10mになる。雌雄異株に加えて雌雄同株もある。雌株では,花は葉腋(ようえき)に1~3個が短い花柄上に生じる。雌雄同株の花の外観は雌株の花に類似するが,花弁におしべが着生している。雄株では30cm以上の花柄を伴う花序がでて分枝し,多数の雄花がつく。熱帯域では通年開花結実をする。果実は大きさ,形状とも変異に富むが,多くは長卵形から球形,大型のものでは長さ40cm,重さ数kgにもなる。果皮はうすく,果実は軟らかく多汁である。カボチャの果実内部のような空間に,多数の黒色で直径5mmほどの種子がある。種子繁殖が通常であり,発芽はよく,半年ほどで開花を始める。メキシコ,コスタリカ地方が原産で,世界の熱帯,亜熱帯で広く栽培され,日本でも沖縄や鹿児島県地方で栽植される。果実は生食のほか,清涼飲料,ジャム,アイスクリームなどに用いられる。
未熟果の切傷から集めたパパインは,前述の利用のほか,消化剤,皮なめし,ウールの防縮剤など多方面に用いられ,種子も駆虫剤となる。
執筆者:岸本 修
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