翻訳|ketchup
ソースの一種で、野菜などを煮て裏漉(ご)ししたあと濃縮し、香辛料、調味料などを加えて味をととのえたもの。発祥はイギリスで、東南アジアや中国南部から輸入していた魚醤(ぎょしょう)をもとにつくったソースといわれている。イギリスには、トマトケチャップ、マッシュルームケチャップなど、いくつかの種類があった。このうちトマトケチャップが広がり、ケチャップといえばトマトケチャップをさすようになった。トマト加工品として商品化したのは1870年代、アメリカのヘンリー・ジョン・ハインツHenry John Heinz(1844―1919)で、アメリカの食卓に欠かせないものとなった。
トマトケチャップは、加工用の赤色系トマトの完熟したものをつぶし、汁をとってこれを濃縮し、トマトピューレをつくる。これに、酢とニンニク、ナツメグ、クローブ、シナモン、コショウなどの香辛料、および塩、砂糖などを加えたうえ、均質にして、さらに濃縮して仕上げる。トマトケチャップは調味料の一種ではあるが、酸味とともに甘味もあり、味がある程度完成されているので、ピューレのように幅広く料理に使えないといった制約はある。しかしソースやマヨネーズ類、ドレッシングなどにあわせたり、パスタなど多くの料理の調味に利用できる。また、食卓に出して食卓調味料としても利用でき、オムレツ、ハンバーグステーキなどにそのままかけて食べることが多い。スパゲッティやご飯を炒(いた)め、味つけ用としてトマトケチャップを使用する。
[河野友美・山口米子]
トマト,マッシュルーム,クルミなどに各種の調味料,香辛料を加えて作るソースの一種。catchup,catsupとも書く。東南アジアから中国南部にかけての地域で古くから調味に用いられてきた塩蔵魚貝類の浸出液に起源をもつもののようで,中国福建省厦門(アモイ)周辺ではこうした魚醬(ぎよしよう)をケチャップ(kôe-chap)と呼ぶところがあり,類語は各地にあった。これが伝わったものか,18~19世紀のイギリスの料理書には,カキ(牡蠣),マッシュルーム,クルミ,キュウリのほか,魚や漿果(しようか)類に食塩,酒,香辛料などを配した各種のケチャップが記載されている。その後これらの大半はすたれ,現在ではトマト,マッシュルーム,クルミなどのものが作られている。代表的なのはトマトケチャップで,これはトマトを砕いて裏ごししたものに,食塩,酢,砂糖などのほか多種類の香辛料を配して濃縮したものである。テーブルソースとされるほか,米飯やスパゲッティの味付けなどに用いられる。マッシュルームケチャップは,マッシュルームの塩蔵汁に香辛料,香草を加えて加熱したもの,クルミケチャップはすりつぶしたクルミに酢,しょうゆ,タマネギ,香辛料などを加えたもので,ともにウースター・ソースの風味づけに用いることが多い。
執筆者:平野 雄一郎
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