パフィオペジラム(読み)ぱふぃおぺじらむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パフィオペジラム」の意味・わかりやすい解説

パフィオペジラム
ぱふぃおぺじらむ
[学] Paphiopedilum

ラン科(APG分類:ラン科)の多年草。シプリペジウム(アツモリソウ)属(アツモリソウやクマガイソウを含む)に近縁な属である。約60種がインドからニューギニア島ブーゲンビル島、北は中国南部までの範囲に分布し、地生または着生する。葉は肉厚の長舌形で、数枚が左右に広がり、その中心から花茎を出し、1個から数個の花をつける。花径は約10センチメートル、上萼片(がくへん)は卵形で大きく、1枚の花弁は袋を形成し、クマガイソウに似た特異な形をなす。花色は白、黄緑、暗紫紅色などで、点や筋(すじ)の入るものもある。花は約1か月保つ。交配種が多く、一般に市販される品種には緑葉で1茎に1花をつけるものと、斑(ふ)入り葉で1茎に1花をつける品種が多い。緑葉品種は通常冬咲きで、低温に強く、冬季は最低7~8℃で越冬する。斑入り葉品種は多くは夏咲きで、栽培温度は最低12~13℃は必要である。繁殖は普通は株分けにより、ミズゴケまたは砂利を用い、半日陰で空中湿度の高い場所に置く。あまり乾かさないように管理し、乾いたら十分灌水(かんすい)する。肥料は、置き肥を4~5月に1回、またはごく薄い液肥を4~6月の間に月1回くらいとする。

[唐澤耕司 2019年5月21日]


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