ブーゲンビル島(読み)ブーゲンビルとう(英語表記)Bougainville Island

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブーゲンビル島」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル島
ブーゲンビルとう
Bougainville Island

パプアニューギニア東端の島。自然地理的,文化的にはソロモン諸島に属するが,行政的にはブカ島などとともにブーゲンビル州を構成。地形は山岳性で,最高点はバルビ山(2743m)。中央部に鉱山町パングナ,海岸にアラワがある。1768年,島名の由来となるルイ=アントアーヌ・ド・ブーゲンビルが訪問。1898年ドイツ領。1914年オーストラリア軍が占領,1920年オーストラリアの委任統治領。1942年初めに日本軍が占領したが,1944年3月にアメリカ軍が実質的に島を征圧。第2次世界大戦後,国際連合信託統治領ニューギニアの一部として再びオーストラリアの統治下に入る(→ニューギニア史)。1975年のパプアニューギニア独立に伴いパプアニューギニア領となり,北ソロモン州を構成した。1997年ブーゲンビル州に改称。パングナ銅山の収益分配に対する不満から,1980年代後半に分離独立の機運が高まった。1988年の暴動により,銅山は翌 1989年閉鎖に追い込まれた。その後内戦となり 1990年代末までに 1万5000人もの死者が出た。2001年,政府軍と革命軍との間でブーゲンビル島および近隣諸島の自治を認める和平協定が結ばれた。2004年に新憲法が制定され,2005年選挙を実施し,同年 6月にブカ島に首都を置く新たな自治政府が発足した。世界最大の露天掘り銅山のひとつであるパングナ銅山は,1972年に操業開始,1980年代初めにはパプアニューギニアの総輸出収益の半分以上を占めた。自治政府は 2005年,パングナ銅山の操業再開を決定した。熱帯自給作物のほか,東海岸を中心に周囲の海岸地帯でココヤシ,カカオを栽培。面積 9300km2人口 17万5160(2000)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブーゲンビル島」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル島
ぶーげんびるとう
Bougainville Island

パプア・ニューギニア東端の島。自然地理的にはソロモン諸島の一部。面積8500平方キロメートル。行政上は、ブカ島とともに北ソロモン(面積9300平方キロメートル。人口17万5160、2000)を構成する。中心都市はアラワ、中心港はキエタ。伝統的作物としてサツマイモタロイモ、商品作物としてココア、ココヤシが栽培される。ココア生産量は全国の4割余りを占める。1963年、埋蔵量8億トン(品位0.45%)の銅鉱床が発見され、72年に採掘を開始した。年産約20万トン(含有金属量)。この銅資源を背景に分離独立運動もあったが、自治強化を条件に妥協が成立し、76年北ソロモン自治政府が生まれた。

 島名は、1768年に来航したフランス人航海者ブーゲンビルに由来する。1899年にドイツ領となったが、1914年、第一次世界大戦でオーストラリアが占領し、20年に同国が領有した(委任統治領)。第二次世界大戦中の42年に日本軍が占領、航空基地となり、海空戦の激戦地となった。43年連合艦隊司令長官山本五十六(いそろく)の搭乗機がこの島上空でアメリカ機に撃墜された。

[谷内 達]

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