パラゴナイト(その他表記)palagonite

岩石学辞典 「パラゴナイト」の解説

パラゴナイト

玄武岩質ガラスまたはシデロメレン(sideromelane)が水と結合した形成物で,弗石と緑泥石を主とする物質である.シデロメレンは火山砕屑物として産出する玄武岩質ガラスのことである.等方性または潜晶質で1.50程度の屈折率を持つ繊維状の集合物である.海底や氷河の下で急冷したガラス質玄武岩質凝灰岩に普通に産出し,ガラス質玄武岩質火山灰の中などにも含まれ,水または水蒸気に飽和している[Waltershausen : 1846].この語は玄武岩質岩石の粒間あるいは杏仁(amygdale)を埋めて産出するマグマ形成の後期の物質に使用される[Teall : 1897, Fermer : 1928].ピーコックはクロロフェアイト(chlorophaeite)であるとし[Peacock : 1926, 1930],マレイとレナードは等方性のものをゲル・パラゴナイト(gel-palagonaite),弱い繊維状,潜晶質のものを繊維パラゴナイト(fibropalagonite)と区別した[Murray & Renard : 1891, Moore : 1966].クロロフェアイトは玄武岩質岩石の杏仁の中のガラスの代りに,その場でパラゴナイト様物質となったものでる.玄武岩質ガラスが水中変質して生じる黄色のゲル状物質で,枕状熔岩に普通に伴って産出する.枕状熔岩塊の急冷部分および周囲の角礫状のガラスの部分が長い間に水と反応して変質したもの.古第三紀よりも古い岩石中にはパラゴナイトからの変質がみられる[片山ほか : 1970].イタリア,シシリイ(Sicily)島のパラゴニア(Palagonia)に産出する.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

最新 地学事典 「パラゴナイト」の解説

パラゴナイト

palagonite

(1)苦鉄質火山岩ガラス(sideromelane)の加水ゲル状変質物。ガラス状,ろう状,樹脂状。橙,黄褐,赤褐,ときに暗褐,淡緑灰,まれに灰色。非晶質ないし繊維状で弱複屈折。パラゴナイト化作用(palagonitization)によりFe2の酸化,Si・Al・Na・Caなどの溶脱が著しいが,溶脱成分の大半は沸石粘土鉱物などとして周辺に沈殿海水湖水・地下水との低温反応によるが,温泉作用でも生成。噴火時の高温反応説は信じがたい。語源は原産地名Sicily島Val di NotoのPalagonia(Waltershausen, 1845)。参考文献:飯島東ほか(1967) 地質雑,73巻
(2)ソーダ雲母のこと。

執筆者:

参照項目:ソーダ雲母

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のパラゴナイトの言及

【雲母】より

…層間にCaなど2価の陽イオンの入ったものはゼイ(脆)雲母と呼ばれている。
[おもな種類と理想化した化学組成]
(1)二・八面体雲母 白雲母muscovite KAl2(Si3Al)O10(OH)2 ソーダ雲母paragonite(ナトリウム雲母,パラゴナイトとも呼ぶ)NaAl2(Si3Al)O10(OH)2(2)三・八面体雲母 金雲母phlogopite KMg3(Si3Al)O10(OH)2 黒雲母biotite K(Fe,Mg)3(Si3Al)O10(OH)2 アナイトannite KFe3(Si3Al)O10(OH)2 イーストン石eastonite  KMg2.5Al0.5(Si2.5Al1.5)O10(OH)2 シデロフィライトsiderophyllite  KFe2.5Al0.5(Si,Al)O10(OH,F)2 鱗雲母lepidolite(紅雲母,リシア雲母,レピドライトとも呼ぶ)KLi2AlSi4O10F2からK(Li,Al)2.5(Si,Al)(OH,F)2
[結晶学的および鉱物学的性質]
 雲母は平板状にわれやすく,六角板状に近い外形を示すが,他の結晶面はあまり発達しない。また双晶していることが多い。…

【白雲母】より

…変成作用を受けた泥質の結晶片岩や片麻岩にも多くみられる。KのかわりにNaの入った雲母はパラゴナイトと呼ばれるが,白雲母と区別しにくい。二次的にできた白雲母や堆積岩中の白雲母で,一般に細かい繊維状結晶の集合物はふつう絹雲母と呼ばれる。…

※「パラゴナイト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

〘 名詞 〙 春の季節がもうすぐそこまで来ていること。《 季語・冬 》 〔俳諧・俳諧四季部類(1780)〕[初出の実例]「盆栽の橙黄なり春隣〈守水老〉」(出典:春夏秋冬‐冬(1903)〈河東碧梧桐・高...

春隣の用語解説を読む