ピーコック(読み)ぴーこっく(英語表記)Thomas Love Peacock

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピーコック」の意味・わかりやすい解説

ピーコック(顔料)
ぴーこっく
peacock

亜鉛アルミニウムスピネルZnOAl2O3の亜鉛をコバルトで、アルミニウムをクロムで一部置換した組成(CoZn)O(AlCr)2O3のスピネル固溶体を主体とする青緑色顔料(がんりょう)。本来、陶磁器の分野で誕生したものであるが、最近は一般の無機顔料の分野でも、耐熱性、耐候性、耐薬品性などの厳しい条件下で使用される塗料、プラスチックなどの着色剤に用いられている。酸化コバルト酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化クロムを配合し、1300℃で焼成して得られる。一般の無機顔料の場合は、焼成温度は若干低くなる。ジルコンジルコニア、酸化スズ系顔料の出現するまでは、ビクトリアグリーンとともに緑の部分をカバーする数少ない顔料であった。

大塚 淳]



ピーコック(Thomas Love Peacock)
ぴーこっく
Thomas Love Peacock
(1785―1866)

イギリス小説家。父はロンドンのガラス商。独学古典語およびフランス、イタリア各語に熟達した。10代後半から詩を発表し、シェリー親交を結んだ。1819年東インド会社入社。以後小説を書くかたわら有能な社員として会社に貢献した。シェリーをモデルにした『夢魔寺院』(1818)、『メイド・メアリアン』(1822)、『クロチェット城』(1831)、『グリル・グレインジ』(1860)など風刺のきいた小説は、A・ハクスリー、ウォーなどに影響を与えた。

[佐野 晃]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピーコック」の意味・わかりやすい解説

ピーコック
Peacock, Thomas Love

[生]1785.10.18. ウェイマウス
[没]1866.1.23. ハリフォード
イギリスの小説家,詩人。シェリーの友人,メレディスの岳父。独学で古典文学を修め,長年東インド会社に勤務した。小説『ヘッドロング邸』 Headlong Hall (1816) ,『夢魔院』 Nightmare Abbey (18) ,『奇想城』 Crotchet Castle (31) などは,筋らしい筋もなく風変りな人物がくつろぎながら長大な会話を繰広げ,世相や著名な人物を風刺するというもので,ほかに中世的ロマンスに重点をおいたものに『メアリアン姫』 Maid Marian (22) ,『エルピンの不幸』 The Misfortunes of Elphin (29) がある。詩論『詩の4つの時代』 The Four Ages of Poetry (1920) は,シェリーが『詩の弁護』を書く動機となったもの。

ピーコック
Peacock, Reginald

[生]1395頃.ウェールズ
[没]1460. ケンブリッジシャー,ソーニイアベー
イギリスの聖職者。「15世紀最大の神学者」と呼ばれ,聖職者を非難するロラード派への反駁文"Repressor of over-much weeting of the clergie" (1455) で有名。その文章は神学的意義のみならず 15世紀英語の模範といわれる。

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