日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピーコック」の意味・わかりやすい解説
ピーコック(顔料)
ぴーこっく
peacock
亜鉛アルミニウムスピネルZnOAl2O3の亜鉛をコバルトで、アルミニウムをクロムで一部置換した組成(CoZn)O(AlCr)2O3のスピネル固溶体を主体とする青緑色顔料(がんりょう)。本来、陶磁器の分野で誕生したものであるが、最近は一般の無機顔料の分野でも、耐熱性、耐候性、耐薬品性などの厳しい条件下で使用される塗料、プラスチックなどの着色剤に用いられている。酸化コバルト、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化クロムを配合し、1300℃で焼成して得られる。一般の無機顔料の場合は、焼成温度は若干低くなる。ジルコン、ジルコニア、酸化スズ系顔料の出現するまでは、ビクトリアグリーンとともに緑の部分をカバーする数少ない顔料であった。
[大塚 淳]