パラミツ(読み)ぱらみつ(その他表記)jack fruit

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラミツ」の意味・わかりやすい解説

パラミツ
ぱらみつ / 波羅蜜
jack fruit
[学] Artocarpus heterophyllus Lam.

クワ科(APG分類:クワ科)の常緑高木。別名ナンカnangka。インド原産の果樹で、英名ジャックフルーツの名で知られる。高さ25メートル。葉は互生し、長楕円(ちょうだえん)形で長さ15センチメートル、革質で表面は光沢がある。雌雄異花で総状花序につく。雄花序は枝の先端または葉腋(ようえき)に、雌花序は樹幹または大枝に直接つき、径1.5~2.5センチメートルの円筒状の花托(かたく)をもつ。果実は偽果で円筒状、長さ25~60センチメートル、径15~20センチメートル。重さは7~9キログラムであるが25キログラムを超えるものもある。黄緑色に熟し、表面は無数の柔らかい突起がある。周年開花し、8か月で熟す。

 香りが強く、種子を取り巻くパルプ質の果肉と肥厚した花托部は甘い生食のほか糖菓、飲料、シチュー塩漬け、乾果など用途は広い。幼果は蔬菜(そさい)とする。種子は楕円形で径1.9センチメートル、デンプンに富み、そのまま煮るか焼いて食べ、またシロップ煮にもする。葉は羊の好飼料となり、材は黄色で、使用中にマホガニー同様の色となり、建築や家具に用いる。繁殖は実生(みしょう)、芽接(めつぎ)、高い枝からの取木などによる。実生後5年で開花する。熱帯では広く栽培でき、土の深い所でよく育つ。本種によく似ており全体がより小さいチンペダックcempedakはコパラミツA. integer (Thunb.) Merr.の地方名。マレーシア原産で、前者より果実がやや細長く、香りが強く、甘い。多雨地でよく育ち、ジャワに多い。

[飯塚宗夫 2019年12月13日]

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改訂新版 世界大百科事典 「パラミツ」の意味・わかりやすい解説

パラミツ (波羅蜜)
jackfruit
Artocarpus heterophyllus Lam.

クワ科パンノキ属の常緑樹で,15m以上の高木も珍しくない。葉は長卵形で濃緑色,花は集合花で,幹や太い枝から出る短い枝につく。果実は大型で40kgに達する例もある。各小花に種子があり,可食部は種子をとりまく花被が多肉になった部分で,成熟すると果面は黄褐色となる。果肉は黄色となり甘く,パイナップルに似るが,むっとする臭気を伴う強烈な芳香がある。南インドが原産地で,全世界の熱帯域に広く栽培される。アラビア人の航海によりアフリカに広まり,東南アジアでは仏教寺院に多く植えられており,和名はサンスクリットの音訳。熟果は果物として生食され,幼果や未熟果は野菜として煮たり,油であげる。種子はクリに似た味で,カレーに入れたり,焼いて食べるほか,乾燥粉末も作る。材はシロアリに強く,マホガニー類似品となる。パラミツに似たコパラミツA.integra (Thunb.) Merr.はスマトラからボルネオにかけて野生するが,マレーシア地域では果樹として栽培される。果実はパラミツより小さいが,同様に利用される。ほかにもマレーシア地域には,果実を食用とするパンノキ属植物が数種ある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラミツ」の意味・わかりやすい解説

パラミツ(波羅蜜)
パラミツ
Artocarpus heterophyllus; jackfruit

クワ科の常緑高木。インド,マレー原産で,同属のパンノキの近似種。高さ9~15mで,葉は鋸歯のない長楕円形,先端がとがる。雌雄異株。幹を傷つけると乳液が出る。雌花穂は幹に直接生じる幹生花。果実は長さ 30~80cmあり,果皮一面に粒状の突起があり,熟すると黒褐色となる。パンノキと同様に若い果実は生食あるいは塩漬などにしたり,乾燥して保存する。種子はデンプン質で食用とする。

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百科事典マイペディア 「パラミツ」の意味・わかりやすい解説

パラミツ(波羅蜜)【パラミツ】

パンノキに近縁のクワ科の常緑高木。南アジア原産。英名はジャックフルーツ。果実は幹に直接生ずる淡黄色の幹生果で,長さ30〜60cm,径20cm内外の長楕円体,表面は疣(いぼ)状突起でおおわれる。中には黄色で,強烈なにおいのある分果がつまっている。パンノキの果実と同じ方法で食用とする。また材を建材,家具材として用いる。

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栄養・生化学辞典 「パラミツ」の解説

パラミツ

 [Artocarpus heterophylla].ジャックフルーツともいう.イラクサ目クワ科パンノキ属に属する果実を生かフライにするなど調理して食べる.種子も煎って食べる.若い花も食べる.

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