パルミチン酸(読み)パルミチンサン(英語表記)palmitic acid

翻訳|palmitic acid

デジタル大辞泉 「パルミチン酸」の意味・読み・例文・類語

パルミチン‐さん【パルミチン酸】

炭素数16個の飽和脂肪酸。白色のろう状の固体。動植物中に広く分布し、木蝋パーム油に多く含まれる。化学式CH3(CH214COOH ヘキサデカン酸セチル酸軟脂酸

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精選版 日本国語大辞典 「パルミチン酸」の意味・読み・例文・類語

パルミチン‐さん【パルミチン酸】

  1. 〘 名詞 〙 炭素原子一六個を含む直鎖の飽和脂肪酸。代表的脂肪酸として動植物界に広く存在する。化学式は CH3(CH2)14COOH で常温で白色固体。石鹸ペンキグリース化粧品などの原料。

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改訂新版 世界大百科事典 「パルミチン酸」の意味・わかりやすい解説

パルミチン酸 (パルミチンさん)
palmitic acid

化学式CH3(CH214COOH。ヘキサデカン酸ともいう。動植物油脂中にグリセリンエステルパルミチン)として存在する高級飽和脂肪酸。とくに天然のパーム油中には脂肪酸の45%程度,木蠟中には脂肪酸の70~77%が存在する。白色結晶で,融点62.65℃,沸点167.4℃(1mmHg),比重d470=0.8487,屈折率nD65=1.4328。水に難溶,熱エチルアルコールエーテル,四塩化炭素に可溶純度の高い製品を得るにはパーム油脂肪酸などをメチルアルコールから再結晶して液状部を除き,メチルエステルとして減圧下で分留し,ケン化して含水アルコール溶液から低温再結晶する。97~50%の純度の製品が市販されている。有機合成原料,化粧品,ペンキ,グリースなどに,ナトリウム塩はセッケンに使われるが,とくに融点が低く溶解性のよいことが要求される場合に用いられる。イソプロピルパルミテートは化粧品のクリーム類の主材料とされる。
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百科事典マイペディア 「パルミチン酸」の意味・わかりやすい解説

パルミチン酸【パルミチンさん】

化学式はCH3(CH214COOH。高級飽和脂肪酸の一つ。白色結晶。融点62.65℃,沸点167.4℃(1mmHg)。水に不溶,石油エーテルに難溶。グリセリンとのエステル(グリセリド)として動植物油中に広く存在。セッケン,グリース,化粧品などの原料として利用。
→関連項目鯨蝋ゴマ油米ぬか(糠)油木蝋ヤシ(椰子)油

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パルミチン酸」の意味・わかりやすい解説

パルミチン酸
ぱるみちんさん
palmitic acid

炭素数16の直鎖高級飽和脂肪酸の一つで、ステアリン酸やオレイン酸とともに広く動植物界に分布し、とくに木ろうやパーム油中に多く含まれている。化学式はCH3(CH2)14COOHで、融点は62.65℃。水には不溶であるが、アルコールやエーテルには溶ける。無臭で白色ろう状の固体。ヘキサデカン酸ともいう。

 牛脂や豚脂などに含まれるパルミチンは、グリセリンと3分子のパルミチン酸とのエステル(トリパルミチン)であり、鯨(げい)ろうはパルミチン酸とセチルアルコールとのエステルである。ミトコンドリアの酵素系によって活性化されパルミチル補酵素Aとなり、β(ベータ)酸化を受けクエン酸回路を経て完全酸化され、炭酸ガスと水に分解される。工業的には、パルミチン酸のエステル、金属塩、アルコール、アミドなどの誘導体が重要で、塗料、グリース、化粧品、プラスチック、せっけん、合成洗剤などに広く使われている。

[若木高善]

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化学辞典 第2版 「パルミチン酸」の解説

パルミチン酸
パルミチンサン
palmitic acid

hexadecanoic acid.C16H32O2(256.42).CH3(CH2)14COOH.ヘキサデカン酸,セチル酸ともいう.グリセリドとして多くの油脂中に含まれている.無色の結晶.融点63~64 ℃,沸点390 ℃,215 ℃(2.0 kPa).0.853.1.4269.水に不溶,エーテル,ベンゼン,クロロホルムに可溶,石油エーテルに難溶.化粧品,界面活性剤に用いられる.[CAS 57-10-3]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パルミチン酸」の意味・わかりやすい解説

パルミチン酸
パルミチンさん
palmitic acid

直鎖飽和脂肪酸で,化学式 CH3(CH2)14COOH 。グリセリドとして動植物中に広く存在し,木ろうおよびパーム油 (やし油) 中に特に多く含まれる。無色ろう状の固体。融点 63℃,沸点 390℃。水に不溶,冷アルコール,石油エーテルに難溶,エーテル,クロロホルム,熱アルコール,ベンゼンに易溶である。

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栄養・生化学辞典 「パルミチン酸」の解説

パルミチン酸

 C16H32O2 (mw256.42).CH3(CH2)14COOH.

 ヘキサデカン酸ともいう炭素16の飽和脂肪酸.天然油脂に通常含まれる.

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世界大百科事典(旧版)内のパルミチン酸の言及

【遠近法】より

… マニエリスムは,透視図法の技術を用いているが,窓の中央に立って見ることをやめ,視点を下(ティバルディ,ベロネーゼ),上(ブリューゲル,バザーリ),斜め(ティントレット)に動かすことによって,個人の視点が普遍なる視点と一致しないことを示した。またパルミジャニーノのように曲面に映る映像や,数々の歪像を描くことによって視覚の本質的な主観性を強調した。これは,宇宙観の変動の時代にあたり,人々が唯一の静止した地盤に立っているとは考えなくなったこの時代の,一般的心情の表現とみることもできる。…

【マニエリスム】より


[マニエリスムの誕生]
 マニエリスムの始源については,ミケランジェロの弟子によってローマに発生したとする説と,フィレンツェの1490年代に生まれたポントルモ,ロッソ・フィオレンティーノなどを創始者とする説とがあったが,今日では,以上に見たように,盛期ルネサンスのすべての局面に同時にマニエリスムの萌芽がみられると考えられている。このうち,時期的に最も早いものとしては,フィレンツェの盛期ルネサンスの様式上の完成者アンドレア・デル・サルトとその周辺に育ったポントルモ,ロッソ・フィオレンティーノ,パルマのコレッジョとローマのラファエロ主義の感化を受けたパルミジャニーノ,ラファエロの弟子ジュリオ・ロマーノ,ペンニGiovanni Francesco Penni(1488ころ‐1528),ジョバンニ・ダ・ウーディネGiovanni da Udine(1487‐1561ころ),ペリーノ・デル・バーガPerino del Vaga(1501‐47),これらと独立してシエナにあってレオナルド風の明暗法をおし進めたベッカフーミなどがあげられる。ミケランジェロの影響はこれらすべてに及んだが,とくにロッソ・フィオレンティーノとポントルモに著しい。…

※「パルミチン酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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