改訂新版 世界大百科事典 「米糠油」の意味・わかりやすい解説
米糠油 (こめぬかゆ)
rice bran oil
玄米をついて精白するとき得られる米ぬか(〈こぬか〉または単に〈ぬか〉ともいう)から圧搾抽出法によって採油し,精製した油。ぬか油ともいう。米ぬかは果皮,種皮,糊粉層を含み,ふつう玄米の6~7%であるが,米をつく程度により収量および含油量などが増減する。米の胚の含油量20~35%,米ぬかの含油量は7~22%。米ぬかは油脂加水分解酵素リパーゼを含み,その作用により貯蔵中に遊離脂肪酸を生じやすく,とくに気温が高く,湿度が大きいときや集荷取扱いが悪いとこの反応が促進され,色も悪くなる。常温で液体。比重0.912~0.928(15℃),屈折率1.471~1.474(20℃),ケン化価179~196,ヨウ素価99~108,不ケン化物3~5%。主要構成脂肪酸の種類と含有率はオレイン酸(38~50%),リノール酸(17~37%),パルミチン酸(21~29%)で,微量成分としてフェルラ酸エステルを含む。蠟成分も含まれ,冷蔵すると蠟分が分離する。用途はサラダ油などの食用油,マーガリン,セッケンなど。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報