ヒイラギナンテン(読み)ひいらぎなんてん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒイラギナンテン」の意味・わかりやすい解説

ヒイラギナンテン
ひいらぎなんてん / 疼木南天
[学] Berberis japonica (Thunb.) R.Br.
Mahonia japonica (Thunb.) DC.

メギ科(APG分類:メギ科)の常緑低木。高さ1~2メートル。樹皮はコルク質で粗く、材は黄色である。葉は枝の先に集まって互生し、奇数羽状複葉小葉は9~13枚が対生し、卵形または楕円(だえん)形で先はとがり、縁(へり)に先が刺(とげ)状の粗い鋸歯(きょし)があり、革質表面光沢がある。3~4月、葉の間から長さ10~15センチメートルの湾曲した総状花序を数個出し、黄色の小花を開く。萼片(がくへん)は9枚、花弁は6枚で先は2裂し、基部に2個の腺点(せんてん)がある。雄しべは6本、葯(やく)は弁が開いて花粉を出す。雌しべは1本。果実は楕円状球形液果で長さ約8ミリメートル、7月ころ紫黒色に熟し、表面は白い粉をかぶる。中国大陸中南部、台湾原産で、日本へは天和(てんな)~貞享(じょうきょう)(1681~1688)ころに渡来した。耐寒性はやや弱く、関東地方以西の本州で庭に植え、いけ花に使う。名は、ナンテンの仲間で、葉がヒイラギに似ることによる。近縁のシナヒイラギナンテンB. bealei Fort.〈M. bealei (Fort.) Carr.〉は中国中部原産で、全体にヒイラギナンテンより大形で耐寒性があり、生育がよい。またホソバヒイラギナンテンB. fortunei Lindl.〈M. fortunei (Lindl.) Fedde〉は中国原産で、小葉は長披針(ちょうひしん)形で5~9枚が対生し、9月ころ総状花序に黄色の小花を開く。ともに繁殖は実生(みしょう)、挿木、株分けによる。

[小林義雄 2019年9月17日]

 かつてはヒイラギナンテン属として独立していた。メギ属と近縁で属間雑種もできるとされていたが、メギ属に含まれるようになった。

[編集部 2019年9月17日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ヒイラギナンテン」の意味・わかりやすい解説

ヒイラギナンテン
Mahonia japonica DC.

メギ科の常緑低木。ヒマラヤから中国大陸や台湾にかけて野生し,17世紀末に薬用木として日本に渡ってきた。株立性で,材や内皮および根は鮮黄色になる。葉は互生で,奇数羽状複葉が枝先に叢出(そうしゆつ)し,革質で光沢がある。小葉には大きな鋸歯があり,ヒイラギに似て尖鋭で触ると痛いので,公園や人留用の植込みに植えられる。花は黄色,3~4月に総状花序に小花を多く咲かせ,萼は9枚で花弁は6枚。果実は液果,6~7月に紫黒色に白粉がついたように熟す。本種に似て葉の細い種類に,ホソバヒイラギナンテンM.fortunei Feddeがあるが,この花は10~11月開花する。どちらも実生,挿木などで繁殖する。半日陰地でよく育ち,土質は選ばない。近年,アメリカ産のヒイラギメギM.aquifolium Nutt.が導入された。これは日本でもよく育ち園芸品種もある。

 ヒイラギナンテン属Mahoniaはアジアと北アメリカや中央アメリカに約70種あり,いずれも常緑の小低木で,ベルベリンberberineをはじめ各種のアルカロイドを含有し,園芸植物として栽植されるほかに,民間薬としても広く利用されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒイラギナンテン」の意味・わかりやすい解説

ヒイラギナンテン(柊南天)
ヒイラギナンテン
Mahonia japonica

メギ科の常緑低木で,トウナンテンともいう。中国,台湾の原産で観賞用として庭園に植えられる。幹は直立し高さは 1mぐらいになる。革質で厚い羽状葉をつけ,小葉の縁にはヒイラギの葉のような大きな歯牙があり,その先はとげになる。春に,黄色の花の総状花序をやや下向きにつける。液果は熟すると濃い紫色となり,表面に白粉をかぶる。

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百科事典マイペディア 「ヒイラギナンテン」の意味・わかりやすい解説

ヒイラギナンテン

中国〜ヒマラヤ原産のメギ科の常緑低木。庭木や切花用に栽植。葉は革質で光沢があり,奇数羽状複葉で,小葉にはとげ状の鋸歯(きょし)がある。春,葉の間から総状花序を出し,黄色の6弁花をつける。果実はほぼ球形で白粉を帯び,紫黒色に熟する。実生(みしょう)でふやす。

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