ヒゴタイ(読み)ひごたい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒゴタイ」の意味・わかりやすい解説

ヒゴタイ
ひごたい
[学] Echinops setifer Iljin

キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎は太くて筋張り、高さ約1メートル、毛を密生し、白色である。葉は羽状に深く裂け、裂片に欠刻と刺(とげ)があり、アザミの葉に似る。葉の表面は緑色で薄いくもの巣状の毛を生じる程度であるが、裏面は白色の綿毛を密生する。8~10月、茎頂または枝先に、多数の頭花が集まって径約5センチメートルの球状の花をつける。頭花は1個の管状花からなり、花冠は濃い淡青色で、先は深く5裂し、裂片は反り返る。総包は16~18枚、覆瓦(ふくが)状に並び、先は芒(のぎ)状にとがる。痩果(そうか)は毛を密生する。冠毛は鱗片(りんぺん)状の毛が中部以下で合生し、冠状になる。日当りのよい草原に生え、中部地方、中国地方、九州、および朝鮮半島と中国に分布するが、きわめてまれである。ヨーロッパ原産の近縁種ルリタマアザミE. ritro L.やE. sphaerocephalus L.は切り花用に栽培される。

[小山博滋 2022年3月23日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒゴタイ」の意味・わかりやすい解説

ヒゴタイ(平江帯)
ヒゴタイ
Echinops setifer; globe thistle

キク科の多年草。愛知県,岡山県,四国,九州および朝鮮半島に断続的に分布し,山野の日当りのよい場所にまれに生える。茎は直立し白毛を密生する。葉は厚くアザミに似ていて,根出葉は長さ 15~20cmで長い柄があり,羽状に深裂する。裂片の縁には先端がとげになる鋸歯がある。上面は緑色で,下面には白色の綿毛が密生する。初秋に,茎頂に青藍色で球形の頭状花をつけ,この頭花はすべて管状花でできている。かつて日本が朝鮮と地続きであったことを示す植物の一つと考えられている。

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