改訂新版 世界大百科事典 「ヒゴタイ」の意味・わかりやすい解説
ヒゴタイ
Echinops setifera Iljin
西南日本暖地の草原に隔離的,残存的に分布するキク科の多年草。茎は高さ1mほど,くも毛を密生し,茎頂に球状に花を集めるが,これは1小花よりなる頭花がさらに多数密集したものである。ヒゴタイ属Echinops(英名globe thistle)は地中海沿岸から西アジアに多くの種が分化し,約120種が知られている。観賞用にルリタマアザミE.ritro L.がよく栽培されている。これは耐寒性のある宿根草で,茎は高さ1mほど,まばらに分枝し,アザミに似た羽状全裂の葉を互生する。灰白色の細かいくも毛が葉裏にあるところから,ウラジロヒゴタイの名もある。夏季,茎頂に淡青色の頭花を球状につける。金属光沢のある小苞をもつ。ときに白色花のものもある。多年草であるが,栽培を続けると株が老化,枯死しやすいので,実生にするとよい。春または秋に播種(はしゆ)すれば,2年目から開花する。日当りと排水のよい所を好み,石灰質を好む。多く切花として用いられ,ドライフラワーとしてもよく使われる。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報