ヒガンバナ科Hymenocallis属の通常は常緑の球根植物。北アメリカの南部から南アメリカにかけて約40種くらいあり,日本では春植えの球根植物として扱われる。葉は幅広く,多くは長楕円形から広線形で,葉柄を有する種もある。花は花茎の頂部の散形花序に多数つき,白色で芳香があり,筒状部とたかつき状に広がった花冠を有し,スイセンにも見られる副花冠が膜状によく発達する。1花の寿命は1~2日。多くの種は夕刻に開く。水揚げがよく切花にもよいが,一つの花の寿命が短いので花屋の店頭にはあまり見られない。
ヒメノカリス・アマンカエスH.amancaes(Ruiz.et Pav.) Nichols.はペルーからチリ原産で,大型の黄色花をつける。耐寒性がないので温室で作る。サルファー・クイーンcv.Sulpher Queenはこれの園芸種で花色は淡黄色。ヒメノカリス・カラティナH.calathina (Herb.) Nichols.(英名basket flower)はブラジル原産で,白色大型の花は強い芳香を有する。花茎の長さは50cmくらいで,花の径は15cm以上になる。ヒメノカリス・カリバエアH.caribaea(Herb.)Herb.は西インド諸島原産,多花性で香りも強い。ヒメノカリス・ハリッシアナH.harrisiana Herb.は細い花被片を有するメキシコ原産の種。熱帯圏ではヒメノカリス類は花壇に植えられるが,耐寒性がないため日本では温室の鉢植球根植物として扱われることが多い。暖かくし,葉が出たら灌水を多くし,光によく当ててやる。肥料は骨粉のようなものを元肥として与え,夏以後の追肥はやらない。寒くなると葉が枯れるので,水をきって越冬させ,翌春に必ず植え替える。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)の半耐寒性球根草。よく栽培されるササガニユリ(スペシオサ種)H. speciosa Salisb.は西インド諸島原産で、英語名はスパイダーリリーspider lily。葉は12~20枚で、長さ60センチメートルになる。夏から秋に開花する。花茎は葉より短く、頂部に9~15花からなる散形花序をつけ、その直径は20センチメートルになることもある。花は白色で、バニラ様の芳香がある。また、カラティナ種H. calathina Nicols.はアンデス原産で、葉は6~8枚、長さ45~60センチメートルで、同じくヒガンバナ科のアマリリスに似る。1花茎に2~4花つける。4月ころ、有機物に富む砂質土壌に植える。日当りでよく育ち、暖地では露地でも越冬可能である。
[平城好明 2019年3月20日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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