ビオトープ(読み)びおとーぷ(英語表記)biotope

翻訳|biotope

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビオトープ」の意味・わかりやすい解説

ビオトープ
びおとーぷ
biotope

ビオトープの本来の意味は「野生生物の生息する空間」だが、ことばをかえていえば、生態系としてとらえることの可能な最小の地理的単位である。1970年代の後半からドイツで、庭園、公園、河川敷などに、湿地草地、林などをつくり、野生生物を呼び戻そうという活動がさかんになり、これがビオトープへの関心を高めた。とくにベルリンのビオトープを盛り込んだ都市計画は、世界的に知られている。ビオトープの創造は、寸断されたり狭小化した在来の生態系を中心にしてもよく、また、小面積でも野生生物が豊かな自然環境をつくりあげればよい。一方、農耕地など人手の入った環境の保全も重視しなければならない。日本では環境省や国土交通省、一部の地方自治体が取り組んでおり、埼玉県では1992年(平成4)12月に、公共事業の際にビオトープ創造(自然環境創造推進事業)に取り組むことを決めた。また、日本生態系協会が97年にビオトープ管理士制度を設け、98年4月には第1回試験合格者約100名からなるビオトープ管理士協会が発足した。地方自治体などがビオトープ事業を行う際には、その地域で勤務を希望する会員が紹介される。

[永戸豊野]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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