日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラブ活動」の意味・わかりやすい解説
クラブ活動
くらぶかつどう
児童・生徒が、学年や学級の所属を離れ、共通の興味や関心に基づいて集団的に行う趣味的、レクリエーション的活動で、文化的な活動、体育的な活動、工芸的な活動からなる。学校では、児童・生徒が健全な趣味や豊かな教養を身につけ、余暇を善用する態度を育てるのを援助する目的で、それを教育課程のうえでは特別活動のなかのクラブ活動に位置づけ、従来年間35週にわたって実施するものとしてきた。したがって、これまで小学校の第4学年以上では、全員をいずれかのクラブに所属させて、自主的に活動させるのが原則であったが、教育課程における特別活動の見直しに伴い、1998年(平成10)の学習指導要領の改訂で中・高等学校のクラブ活動は廃止された。
大学などの高等教育機関では、クラブ活動は教育課程外の活動とみなされているが、小・中・高等学校においても、選手制度と毎日の猛練習を特色とするようなクラブ活動は、とくに部活動として、同様に教育課程外に位置づけている。部活動は、クラブ活動とほぼ同じ特質や意義をもつ教育活動として、放課後などに従来から広く行われてきたが、1989年(平成1)の学習指導要領の改訂で、部活動への参加をもってクラブ活動の履修にかえることができるという指導の弾力化が図られ、これを受けて多くの学校では部活動によるクラブ活動の代替措置がなされてきた。また、部活動を社会体育に移行させる動きに加え、地域の青少年団体やスポーツクラブなどに参加して活躍する者も出てきた。こうした状況をふまえて、98年(平成10)の改訂では、完全週5日制の導入、「総合的な学習」の時間創設に伴い、中・高等学校でのクラブ活動は廃止されることとなった。小学校では、学校や地域の実情などを考慮しつつ、児童の興味・関心をふまえて計画、実施できるよう、各学校において適切な授業時間数をあてることとなった。
なお、各種競技の全国大会の開催に伴い、そのための練習の過熱、選手本位の部活動についてはかねて批判があり、クラブ活動から部活動への移行がこうした傾向にいっそう拍車をかけはしないかという懸念も否定できない。
[井上治郎・下村哲夫]
『今橋盛勝ほか編著『スポーツ(部活)』(1988・草土文化)』▽『保坂展人編『先輩が怖い!――中学生に広がる新・身分制度』(1989・リヨン社)』▽『城丸章夫・水内宏編『スポーツ部活はいま』(1991・青木書店)』▽『山口満編著『特別活動と人間形成』新版(2001・学文社)』