ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピサネロ」の意味・わかりやすい解説
ピサネロ
Pisanello, Antonio
[没]1455頃
イタリアの画家でメダル彫刻家。本名は Antonio Pisanoでピサ人の父とベロナ人の母との間に生れた。ベロナで成長し,同地の画家 S.ツェビオに師事して,北方的リアリズムを身につけた。ベネチアで G.ファブリアーノの助手となり,パラッツォ・ドゥカーレの壁画制作に従事。その後もマントバ (1424) ,ローマ (31~33) ,ベロナなどでファブリアーノと共働している。さらにマントバとミラノ (40) ,ベネチア,フェララ,リミニ,パビア,ナポリなどイタリア各地で活躍し,壁画,板絵,メダルなど多彩な制作活動をみせた。彼の画風は,当時流行の国際ゴシック様式から強い影響を受けているが,しかしそこから洗練されたきめ細かい感覚と,たゆまない写実探究から培われた確かな描写力とがうまく結合しており,独自の様式を築き上げている。そして,『聖告』 (22~26,ベロナ,サン・フェルモ聖堂) や『聖ゲオルギウス伝説』 (38頃,ベロナ,サンタナスタジア聖堂) の各壁画,『聖エウスタキウス』 (ロンドン,ナショナル・ギャラリー) ,『リオネロ・デステの肖像』 (41/4,ベルガモ,アカデミア・カラーラ) ,『ジネブラ・デステの肖像』 (ルーブル美術館) など,すぐれた作品を残した。また,精緻な観察による動物素描画を多く残し,メダル制作者としても傑出していた。
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