ピルトダウン人(読み)ピルトダウンじん

精選版 日本国語大辞典 「ピルトダウン人」の意味・読み・例文・類語

ピルトダウン‐じん【ピルトダウン人】

  1. 〘 名詞 〙 ( ピルトダウンはPiltdown ) 一九一一~一五年イギリスの東サセックス州のピルトダウンで発掘された化石人骨。発見当初は曙(あけぼの)人類と呼称され最古化石人類とされたが、のちに発見者のドーソンらが偽作したものと判明

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百科事典マイペディア 「ピルトダウン人」の意味・わかりやすい解説

ピルトダウン人【ピルトダウンじん】

1911年英国のアマチュア地質学者ドーソンC.Dawson〔1864-1916〕が,サセックス州ピルトダウンPiltdownの礫層(れきそう)中から人間に近い下顎骨頭骨の一部を発掘したと報告。ロンドンの自然史博物館地質部長A.S.ウッドウォードがこれを50万年前の化石人類と鑑定,エオアントロプスEoanthropus(曙(あけぼの)人)と命名した。しかし疑問点があるためその真偽をめぐって論争が続いたが,1949年―1953年フッ素ウランの分析,X線解析等の検査により,頭骨は現代人のもの,下顎骨は類人猿の骨を変造したものと判明した。ドーソンが名声を得ようとして行ったものらしく,科学史上最大の詐欺事件。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピルトダウン人」の意味・わかりやすい解説

ピルトダウン人
ピルトダウンじん
Piltdown man

1911~13年にイギリス,イーストサセックス県ピルトダウンでギュンツ=ミンデル間氷期のものとされていた礫層から C.ドーソンによって発見された頭蓋骨片,下顎骨,犬歯などにつけられた名称。エオアントロプス・ドウソニ Eoanthropus dawsoniと呼ばれ,現代人の直系祖先と考えられた。ところが,53~54年大英博物館で再検討したところ,ヒトの頭蓋骨と加工したオランウータンの下顎骨とを組合せ,歯に対しては,人工的に摩滅させたり,化学的に着色が行われたことが明らかになった。稀有の珍事件として学会だけでなく,社会的にも大きな問題となった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ピルトダウン人」の解説

ピルトダウン人(ピルトダウンじん)
Piltdown

イギリス,サセックス州ピルトダウンの河床堆積地から1910年代に出土した頭蓋(とうがい)片および下顎(かがく)。頭蓋は人類的,下顎は類人猿的であることから,かつて人類の系統的位置づけに論争をもたらした。50年代に,フッ素などの含有量の検定をしたところ,頭蓋は更新世(こうしんせい)後期から現代にかけてのもの,さらに下顎はオランウータンのもので,人工的な偽物であることが判明した。

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