ピロティ(読み)ぴろてぃ(英語表記)pilotis フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピロティ」の意味・わかりやすい解説

ピロティ
ぴろてぃ
pilotis フランス語

もともとフランス語で建物を支持する杭(くい)を意味するが、近代建築用語としては独立柱が建物を支持する吹き放しの部分をさす。ル・コルビュジエが提唱した近代建築の五原則の一つで、建物を大地から持ち上げることによって地上を解放し、空間的連続性を獲得して自由な交通を可能にしようとする造形である。彼の設計になるポワッシーのビラ・サボワ(1931)やパリの国際大学都市のスイス学生会館(1932)が初期の例であり、マルセイユユニテ・ダビタシオン(1952)で大規模に採用されている。

[前川道郎]

 なお、ビラ・サボワとユニテ・ダビタシオンは、2016年、「ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献」の構成資産の一つとして、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部 2017年2月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピロティ」の意味・わかりやすい解説

ピロティ
pilotis

建築用語。基礎杭を意味する。ル・コルビュジエが,1階部分を柱だけの空間とし,2階以上の部分を支える形式を使ってから,この形式の1階部の吹放しの部分をさす用語となった。これによって1階部が開放されて,建築に軽快感が加えられ,伝統的な地上に根をおろしたような重い安定感のある感覚から脱却し,地上部に新しい機能をもたせた (→サボア邸 ) 。

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