日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピーター・パン」の意味・わかりやすい解説
ピーター・パン
ぴーたーぱん
Peter Pan
イギリスの劇作家J・M・バリーの同名の空想劇(1904)の主人公で、けっして大人にならない子供。小鳥のように空を飛ぶ。牝犬(めすいぬ)ナナに育てられる人間の少女ウェンディと彼女の2人の弟とは、ある日ピーターに誘われて空を飛び、彼の住む「ないない国」(ネバーランド)へくる。そこには乳母車(うばぐるま)から転げ落ちて行方不明になった6人の男の子、インディアンの一族、右手が鉄の鉤(かぎ)になっている獰猛(どうもう)な船長フックを首領とする海賊の一味、腹の中に時計を飲み込んでいる鰐(わに)、人魚たち、妖精(ようせい)のティンカー・ベルなどがいて、彼らの間に、追いつ追われつ、奇想天外な事件が続発する。万人にある永遠の童心に訴える名作で、作者自身によって小説(『ピーター・パンとウェンディ』1911)にもされている。
[冨原芳彰]
『本多顕彰訳『ピーター・パン』(新潮文庫)』▽『石井桃子訳『ピーター・パンとウェンディ』(1957・岩波書店)』