果実はパイナップルのような芳香があり,美味とされるフトモモ科の常緑低木で,4~6mの樹高となる。葉は卵形で対生し,花は直径約4cmで,花弁の外面は白,内側はばら色,多数の総状のおしべは紅色をおび,美しい。径5cmほどの球もしくは楕円形の果実は,頂部に萼片を残存させる。成熟すると果面は赤みを帯びた淡緑色となり,果肉は粘質かつ密であり,数十個の種子は小さく,口中にほとんど感じないし,甘みに富む魅力的な果物である。ウルグアイからブラジル南部地域が原産である。亜熱帯地域から温帯にかけて栽培され,-10℃にも耐えるというが,東京では寒害を受けることがある。日本の暖地においても,昭和初年に導入されて以来試作されている。生食のほか,糖果,ジャム,ゼリーなどに加工される。シチュー料理にも好適である。葉や花が美しく,樹姿もよいので庭園樹としても植えられる。
執筆者:岸本 修
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
フトモモ科(APG分類:フトモモ科)の常緑大低木。高さ4~5メートル。樹皮は細かくはげる。葉は対生し、卵状楕円(だえん)形または楕円形で長さ5~7センチメートル、ほぼ全縁である。厚い革質で表面は光沢があって濃緑色、裏面は白綿毛を密生する。6~7月、葉腋(ようえき)に径約4センチメートルの4弁花を開く。花弁は上に反り返ってボート形になり、やや肉質、外面は白色、内面は紫紅色を帯びる。雌しべ、および多数の雄しべは深紅色で美しい。果実は楕円形で長さ3~7センチメートル、灰緑色で赤みを帯び、10~11月に熟す。果肉は白色で柔らかく、パイナップルに似た香りと甘味があり、食用にする。
ブラジル南部、パラグアイ、ウルグアイ原産で、日本には1931~1932年(昭和6~7)ころ渡来した。関東地方南部以西の露地で育ち、土質はあまり選ばない。繁殖は実生(みしょう)、挿木、接木(つぎき)などによる。
[小林義雄 2020年8月20日]
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