フエガラス(読み)ふえがらす

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フエガラス」の意味・わかりやすい解説

フエガラス
Cracticidae; butcherbirds and allies

スズメ目フエガラス科の鳥の総称全長 18~50cm。4属 12種からなる。一見カラス類に似た鳥で,羽色は種によって黒いか黒白のまだら模様,灰色などがある。は太くじょうぶで先がとがる。オーストラリアからニューギニア島にかけて留鳥として分布する。森林サバナにすみ,カラス類と同じく雑食で,昆虫類や小型の脊椎動物果物漿果(→液果)などなんでも食べる。また,さまざまな鳴き声をだすが,カラス類と違って繁殖期には響きのよいさえずりをする。小枝を主材とした大型の椀形の巣を木のまたにかけ,2~5個の卵を産む。種によっては若鳥を含む 10羽ぐらいのグループが一つのなわばりをもち,グループ内のひとつがいの繁殖を手伝う協同繁殖をすることで知られている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フエガラス」の意味・わかりやすい解説

フエガラス
ふえがらす / 笛烏

広義には鳥綱スズメ目フエガラス科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この科Cracticidaeの仲間は、オーストラリアとニューギニア島とその周辺の島々に9~13種が分布する。この類を総称する英名はない。全長25~50センチメートル。頭と嘴(くちばし)が大きく、足が強く、一見カラスとモズに似ている。羽色は黒、黒と白、ねずみ色と白、黒とねずみ色と白などである。森林や疎林、木の多い公園などにすみ、樹上性であるが地上で採餌(さいじ)することも多い。大形の昆虫、小形の脊椎(せきつい)動物、果実などを食物とする。モズガラス属Cracticus6~7種と、オーストラリア東部に分布する種のフエガラスStrepera graculinaを含むフエガラス属2~3種は、冬は群れをなすが、繁殖期にはつがいで縄張りテリトリー)を激しく防衛する。カササギフエガラス属Gymnorhina1~3種は一年中小群で縄張りを防衛し、小群のまま繁殖する点で特異である。この小群は2羽から数羽の成鳥と数羽の若鳥からなるのが普通である。

浦本昌紀

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