フェノールフタレイン(読み)ふぇのーるふたれいん(英語表記)phenolphthalein

翻訳|phenolphthalein

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェノールフタレイン」の意味・わかりやすい解説

フェノールフタレイン
ふぇのーるふたれいん
phenolphthalein

トリフェニルメチル系色素の一つで、フタレイン染料とよばれる化合物の一種である。酸とアルカリを区別する指示薬として知られ、1871年にドイツのA・バイヤーによって初めて合成された。無水フタル酸フェノールを混合して加熱すると縮合生成物として得られる。分子式C20H14O4。分子量318.3。融点262~264℃。無色ないしはわずかに黄色を帯びた白色結晶で、高温で昇華する。エタノールエチルアルコール)には溶けるが、エーテルや水には溶けにくい。酸性および中性溶液中では無色であるが、水素イオン濃度指数pH)が9以上になると紅赤色を示す。pH14以上では紅色が薄くなり、pHが0以下の溶液中では橙(だいだい)色になるといわれているが、pH指示薬をこのような強アルカリ性や強酸性の条件下で使うことはないので問題にはならない。変色をおこす理由は、アルカリ性の下では陰イオンになって構造の変化がおこり、分子内に発色団を生ずるからである。酸塩基指示薬や医薬品(緩下剤)として用いられる()。

[廣田 穰 2015年7月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェノールフタレイン」の意味・わかりやすい解説

フェノールフタレイン
phenolphthalein

化学式 C20H14O4 。酸塩基指示薬 (酸性では無色,pH8.0~9.8で変色,アルカリ性では赤色) として用いられる。無水フタル酸とフェノールを加熱してつくられる白色粉末。 1871年 A.バイヤーによってつくられた。エチルアルコールにはよく溶けるが,水にはほとんど溶けない。指示薬として用いられるほか,カドミウムや金の検出に,また緩下剤としても用いられる。

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