フェンタニル製剤（読み）フェンタニルセイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版

フェンタニル製剤

製品名
《フェンタニル経皮吸収型製剤》
デュロテップMT（ヤンセンファーマ）
フェンタニル（帝国製薬、テルモ、久光製薬、Meiji Seikaファルマ、祐徳薬品工業）
ラフェンタテープ（日本臓器製薬）
ワンデュロ（ヤンセンファーマ）
《フェンタニルクエン酸塩製剤》
アブストラル（協和キリン、久光製薬）
イーフェン（帝國製薬、大鵬薬品工業）
フェンタニルクエン酸塩（救急薬品工業、第一三共）
フェントス（久光製薬、協和キリン）

　フェンタニル製剤は、非オピオイド鎮痛剤や弱オピオイド鎮痛剤では十分な鎮痛効果が得られない場合の、中等度から高度の痛みを伴う各種ガンにおける鎮痛、中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛に使用される貼付剤です。ただし、ほかのオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限ります。

　フェントスは非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤の外用剤で、治療困難な中等度から高度の疼痛を伴う各種ガンの鎮痛に用います。ただし、ほかのオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限ります。1日1回貼り替えの経皮型貼付剤で、モルヒネ塩酸塩水和物製剤に比べて、便秘やねむけなどの副作用が軽減されている点が特長です。

　アブストラルとイーフェンは口腔粘膜吸収剤で、強オピオイド鎮痛剤を定時使用中のがん患者における突出痛の鎮痛に用います。

①発疹ほっしん、かゆみなどの過敏症状をおこすことがあります。過敏症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に報告してください。

②薬物依存、呼吸抑制、意識障害、ショック、アナフィラキシー、けいれんが現れることがあります。このような症状が現れたときは、すぐに医師に報告してください。

　また、傾眠、眠気、吐き気、便秘、食欲不振、排尿障害、倦怠感けんたいかんなどが現れることがあります。このような症状が現れたときは、医師に相談してください。

①フェンタニル製剤とフェントスは貼付剤（パップ剤やテープ剤）で、通常、胸部、腹部、上腕部、大腿部などに貼り、1日用と3日用があります。使用方法は医師・薬剤師の指示をきちんと守り、かってに中止したり、増量・減量しないでください。

　アブストラルは舌下錠、イーフェンはバッカル錠です。かんだりなめたりせず、舌下や歯ぐきと頬の間に置いて溶けるのを待ちます。

②問診の際にあらかじめ、持病・アレルギー・現在使用中の薬の有無などを医師に報告してください。

　この薬の成分に対して過敏症状をおこしたことのある人には使用できません。また、慢性肺疾患などの呼吸機能障害、気管支喘息、徐脈性不整脈、肝・腎機能障害、頭蓋内圧の亢進こうしん、脳の器質障害、40度以上の発熱のある人、これまでに薬物依存になったことのある人などは、医師と相談したうえで用いてください。

③中枢神経抑制剤、吸入麻酔剤、MAO阻害剤、三環系抗うつ剤、筋弛緩剤、抗ヒスタミン剤、オピオイド鎮痛剤、リトナビル製剤、アミオダロン塩酸塩製剤、クラリスロマイシン製剤、ジルチアゼム塩酸塩製剤、セロトニン作用剤などと併用するときは、注意してください。

④この薬を使用中は、飲酒を控えましょう。

⑤保管の際には、小児の手の届かないところに保管してください。

⑥貼付剤は温度が上昇すると吸収量が増加するので、使用中は外部熱源への接触や熱い温度での入浴などを避けてください。

⑦ねむけ、めまいが現れることがあるので、自動車運転や危険な作業は避けてください。

出典　病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版