日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォロ・ロマーノ」の意味・わかりやすい解説
フォロ・ロマーノ
ふぉろろまーの
Foro Romano
イタリアの首都ローマに残る古代ローマの中心地の遺跡。カンピドリオの丘とパラティーノの丘の間にある低地で、古代ローマ1000年の歴史を通じて政治、司法、宗教、商業の中心地であった。入口の右手に紀元前179年建築のバシリカ・エミリアがあり、ここは金融施設であった。その奥に元老院のあったクーリアがあり、その左に紀元後203年建築のセウェルス帝の凱旋(がいせん)門(アルコ・ディ・セッティミオ・セベロ)、さらに左に古代ローマの演壇ロストラがある。そのロストラの左に、カンピドリオの丘にあったジュピターの神殿まで通じる聖なる道(ビア・サクラ)がある。聖なる道の反対側に前497年に建てられたローマの農業神を祭ったサトゥールノ神殿がある。また聖なる道に沿ってバシリカ・ユリア(シーザーのバシリカ)の礎石が残っているが、この建物は最初カエサル(シーザー)が前46年に建てたものである。この東にある円柱は紀元後608年建築のコロンナ・ディ・フォカで、フォロ・ロマーノ最後の建造物である。なお、この遺跡のあるローマ歴史地区は教皇領、サンパオロ・フォーリ・レ・ムーラ教会とともに世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[藤澤房俊]