フクシア(読み)ふくしあ

デジタル大辞泉 「フクシア」の意味・読み・例文・類語

フクシア(〈ラテン〉Fuchsia)

アカバナ科フクシア属の落葉中低木総称。葉は楕円形。春から夏、基部筒状上部が4裂するがくをもつ4弁花が垂れ下がって咲き、雄しべ雌しべとも長く、突き出る。園芸植物とし、花期は春から夏で、花色は紫・紅・白色などがある。中南米などに分布ホクシャ 夏》
《「フューシャ」とも》「フクシャ」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「フクシア」の意味・読み・例文・類語

フクシア

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] Fuchsia ) アカバナ科フクシア属の学名で、この属に含まれる植物の総称。熱帯アメリカを中心に約一〇〇種あり、交配による園芸品種も多い。普通は高さ一メートルたらずの落葉低木で、鉢植えなどにして観賞する。葉は柄をもち、主に対生。春から夏にかけ枝先の葉腋に大きな花を一個ずつ垂れ下げる。萼は筒状で先は四裂し赤色花弁は四枚で紫紅色。また、萼が白や桃色、花弁が白、桃、紅、紫色など変化に富む。八重咲き大輪もある。フューシャ。ホクシャ。つりうきそう。

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改訂新版 世界大百科事典 「フクシア」の意味・わかりやすい解説

フクシア
Fuchsia hybrida Voss

アカバナ科の常緑低木。花は枝先の節から1~数個垂れ下がって咲き,萼は先が4裂,開出あるいは反曲して大きく,花弁のように見え,花弁は萼よりも小さく4枚で,幅広く重なり合う。8本の長いおしべと1本の長いめしべが目だつ。花色は豊富で,鉢物に使われる。

 フクシア属Fuchsia(英名lady’s eardrop)は約100種知られており,その大部分は中・南米に原産する(ニュージーランドに4種,タヒチに1種)。そのうちF.magellanica Lam.を片親として,F.coccinea Dry.やその他の種が交配され選抜されたものが,フクシアまたはホクシャの名で園芸的に広く栽植されている。この雑種品種群は,原種にくらべ花は大きく多花性となり,枝もじょうぶになっている。開花期は一般には3月から11月である。花色は紅・桃・紫・淡紫・白色などがあり,萼と花弁の色が同色のものと異色のもの,八重咲き,一重咲きの花形の変化,あるいは房咲きのものや下垂するものなど変化が多い。しかし中・南米の冷涼な山地原産種が基本になっているので,夏の高温や冬のひどい低温には弱い。繁殖は挿木による。原産地にくらべ日本の夏は暑いので,なるべく涼しく保つことが必要である。春から初夏に挿木し,小苗の状態にすると夏を越しやすい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フクシア」の意味・わかりやすい解説

フクシア
ふくしあ
[学] Fuchsia hybrida Voss.

アカバナ科(APG分類:アカバナ科)の落葉低木。ホクシャともいう。熱帯アメリカ、南アメリカ、ニュージーランドなどに多くの種が分布するが、そのうちの数種を親として改良された園芸植物。普通は温室内で栽培し、鉢植えにして観賞される。葉は対生し、卵状披針(ひしん)形で縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。花は径3~6センチメートルで美しく、枝先の葉腋(ようえき)に細長い柄を出して垂下する。萼(がく)の下部は筒状、上部は4片に分かれて赤色、花弁は4枚で紫紅色である。ほかに、萼が白色や桃色のもの、花弁が紫、紅、桃、白色のものなどがある。雄しべは8本で雌しべとともに長く突き出ている。花期は普通は4~6月を中心に3~11月。八重咲き品種もある。

 粘質壌土に腐葉と川砂を混ぜた土で鉢植えにし、適時、芯(しん)を摘んで育てる。高温と乾燥に弱く、夏は涼しい場所に置く。繁殖は挿芽により、秋から春先に温室内で行う。

[松岡清久 2020年8月20日]

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百科事典マイペディア 「フクシア」の意味・わかりやすい解説

フクシア

ホクシャ,ツリウキクサとも。熱帯アメリカやニュージーランド原産のアカバナ科の一属で,約100種がある。常緑または落葉性の低木,小高木であるが,園芸的に栽培されるのは交雑によってできた種類である。園芸品種が数千種類もあるといわれる。卵形で縁に鋸歯(きょし)のある葉を対生,枝先の葉腋から出た長い柄の先に1花をつける。萼の下部が筒状をなし先端は4裂,花弁は萼片より小さく4枚,8本のおしべと1本の花柱が花外に突き出ている。花色は,紅・桃・紫・白等あり,萼と花弁が異色のものと同色のもの,八重咲品種もある。さし芽でふやす。

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