日本大百科全書(ニッポニカ) 「フッ化ケイ素」の意味・わかりやすい解説
フッ化ケイ素(データノート)
ふっかけいそでーたのーと
四フッ化ケイ素 | |
SiF4 | |
式量 | 104.1 |
融点 | -90.2℃ |
沸点 | -86℃ |
比重 | 1.598(-80℃) |
六フッ化二ケイ素 | |
Si2F6 | |
式量 | 170.2 |
融点 | -18.6℃ |
沸点 | -18.9℃ |
フッ化ケイ素
ふっかけいそ
silicon fluoride
ケイ素とフッ素の化合物。四フッ化ケイ素SiF4、二フッ化ケイ素SiF2、六フッ化二ケイ素Si2F6などが知られる。四フッ化ケイ素は、ケイ素にフッ素を直接作用させるか、二酸化ケイ素、ケイ酸塩にフッ化水素酸を作用させて得られる。蛍石(ほたるいし)CaF2と二酸化ケイ素の混合物に濃硫酸を作用させてもよい。純粋なものはヘキサフルオロケイ酸バリウムBaSiF6の熱分解によって得られる。無色、刺激臭の強い不燃性の気体。SiF4分子はケイ素原子を中心とする正四面体構造。吸湿性が強く、空気中では発煙する。水と激しく反応して二酸化ケイ素とヘキサフルオロケイ酸(フッ化ケイ素酸)を生じる。湿気がまったくなければ、ガラス、水銀、グリースなどを侵さない。皮膚、粘膜などに激しい刺激を与え、毒性が強い。
二フッ化ケイ素はSiF4とケイ素を反応させて得られる無色の気体。きわめて不安定。
六フッ化二ケイ素は、六塩化二ケイ素をフッ化亜鉛と熱するか、ケイ素に不活性気体で薄めたフッ素を低温で反応させて得られる無色の気体。
[守永健一・中原勝儼]