フョードロフ(読み)ふょーどろふ(英語表記)Евграф Степанович Фёдоров/Evgraf Stepanovich Fyodorov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フョードロフ」の意味・わかりやすい解説

フョードロフ(Evgeniy Konstantinovich Fyodorov)
ふょーどろふ
Евгений Константинович Фёдоров/Evgeniy Konstantinovich Fyodorov
(1910―1981)

ソ連の地球物理学者、科学行政家。レニングラード大学卒業。同大学で博士号を取得して水理気象局に入る。1937年北極探検隊に参加、パパーニン隊の一員として北極漂流科学ステーション第1号で科学的観測を担当し、北極域の気象・海象解明に成果をあげた。1947年科学アカデミー副会員、地球物理学研究所研究室長、1956年同所長。1960年科学アカデミー会員。1962~1974年水理気象局長官。地球物理学の研究と科学行政の功績でソ連邦英雄の称号とレーニン勲章を受け、1976年には世界気象機関(WMO)から、その前身の名称を現在もつけている国際気象機関(IMO)賞を受賞した。学問的業績は北極気象、海洋学、大気物理学、気象制御など幅広く、論文は250編に上る。行政上では科学アカデミーに応用地球物理学研究所、実験気象学研究所などを設立したことがあげられる。主著に『北極日記』『人間と自然』などがある。1977年に死去したアンナ夫人は、女性北極探検家の先駆者として知られ、1934~1935年のチェリュースキン岬科学基地での観測にはともにこれに従事している。

[半澤正男]


フョードロフ(Evgraf Stepanovich Fyodorov)
ふょーどろふ
Евграф Степанович Фёдоров/Evgraf Stepanovich Fyodorov
(1853―1919)

ロシアの鉱物学者、結晶学者。ロシアの鉱山局(1883~1885)、地質調査所(1885~1894)などに勤務し、晩年はペテルブルグ高等鉱業専門学校教授に就任し、死の直前にはペテルブルグ科学アカデミー会員に選出されている。構造結晶学の権威として知られ、結晶測定用の各種器具を考案している。とくに、顕微鏡で鉱物薄片を調べるときに用いる自在回転台は彼の考案による。等軸晶系の対称性(1880)、230個の空間群(1890)などを発見している。

[大森昌衛]


フョードロフ(Nikolay Fyodorovich Fyodorov)
ふょーどろふ
Николай Фёдорович Фёдоров/Nikolay Fyodorovich Fyodorov
(1828―1903)

ロシアの宗教思想家。ガガーリンPavel Ivanovich Gagarin(1798―1832)公爵と農奴との間の庶子。地方の諸都市で歴史と地理を教えたのち、1868年モスクワに移り、1874年から1898年までルミャンツェフ博物館司書。自給自足の禁欲生活を送り、私有を罪悪視して、通年着衣は一着のみ、定居ももたなかった。生前自著を出版せず、死後その草稿と書簡が、弟子のコジェブニコフVladimir Aleksandrovich Kozhevnikov(1852―1917)とペテルソンNikolai Pavlovich Peterson(1844―1919)により『公共のわざの哲学』Философия общего дела/The philosophy of the Common Task の表題で刊行された(第1巻、第2巻)。生者たちの有機的結合体(ブラーツトウォ)が先祖崇拝により死者たちを復活させ、そのことで現世に全死者と全生者が結合する楽園が築かれるというのが彼の思想の核である。そのための構案をロシア独自の墓地や過去帳、聖像画(イコン)、農民の風習などを基に展開する。

[御子柴道夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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