日本大百科全書(ニッポニカ) 「フレスコバルディ」の意味・わかりやすい解説
フレスコバルディ
ふれすこばるでぃ
Girolamo Frescobaldi
(1583―1643)
初期バロックを代表するイタリアの作曲家、オルガン奏者、ハープシコード奏者。9月15日ごろ北イタリアの文化都市フェッラーラで生まれ、同地の宮廷オルガン奏者ルッツァスキに師事したが、1594~96年同地に滞在したジェズアルドの影響も受けた。おそらく1601年、師のルッツァスキとともにローマに出てオルガン奏者兼歌手として活躍し、07年にはサンタ・マリア・イン・トラステベレ教会のオルガン奏者となるが、同年パトロンのベンティボリオに従いブリュッセルに旅している。08年から、43年3月1日の死の直前までローマのサン・ピエトロ大聖堂のオルガン奏者として活躍し、名声をかちえた。アルドブランディーニ枢機卿(すうききょう)の宮廷にも仕えていた。多数の作品のなかでもとくにトッカータ集(1615)は彼の名人芸を伝える作品として知られている。リチェルカーレ集(1615)、カンツォーネ集(1623)も重要だが、『フィオーリ・ムジカーリ(音楽の花束)』(1635)は、バッハをはじめとした後代のドイツの音楽家にも大きな影響を及ぼした。
[樋口隆一]