リチェルカーレ(読み)りちぇるかーれ(英語表記)ricercare イタリア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リチェルカーレ」の意味・わかりやすい解説

リチェルカーレ
りちぇるかーれ
ricercare イタリア語

16~17世紀のさまざまな型の器楽曲。「探索する」という意味のイタリア語動詞に由来し、この呼称で指示されるものも一律に規定しがたいが、もっとも重要なものはフーガの先行形態をなす模倣的器楽形式である。16世紀中葉に書かれた初期のリチェルカーレは、ルネサンス期の声楽モテットを器楽に移した様式を示し、多くの場合合奏用であった。しかし鍵盤(けんばん)楽器用の曲では声楽様式からの脱皮がくふうされ、16世紀後半のアンドレア・ガブリエリの作品で複数の主題をもつ模倣的リチェルカーレの定型が確立した。17世紀のフレスコバルディは単一主題に基づく様式を確立し、各部分を変奏で有機的に関連づけた。この単主題リチェルカーレは、その後技法的発展を示しつつしだいにフーガへ移行した。

[寺本まり子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リチェルカーレ」の意味・わかりやすい解説

リチェルカーレ
ricercare

音楽用語。 16~17世紀のフーガ様式の器楽曲によく用いられた名称。声楽曲のモテトと同様に,次々に主題を模倣風に展開するもので,最初期のものには M.カバッツォーニのオルガン曲 (1523) があるが,その後もガブリエリ,フレスコバルディらによって作られた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android