日本大百科全書(ニッポニカ) 「フレマールの画家」の意味・わかりやすい解説
フレマールの画家
ふれまーるのがか
Maître de Flémalle フランス語
生没年不詳。15世紀ネーデルラントの逸名画家。ヤン・ファン・アイク、ロヒール・ファン・デル・ワイデンと並ぶ初期ネーデルラント絵画の第一世代に属する。リエージュ近郊の、いわゆる『フレマール修道院の祭壇画』と伝えられる3枚の板絵(フランクフルト、シュテーデル美術館)にちなんでこうよばれ、『メローデ祭壇画』やディジョンの『聖誕』を中心とする作品群が同画家に帰される。ワイデンとの様式的類似から、その師トゥールネーのロベルト・カンピンとする説が近年有力である。ヤンと同じくもっとも早く油彩画技法に習熟した画家。空間よりも画平面への意識が強く、鮮やかな色彩で対象の細密な描写を実現する一方で、風景や光の処理では鋭い自然観察を示している。
[保井亜弓]