フレマールの画家(読み)ふれまーるのがか(英語表記)Maître de Flémalle フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フレマールの画家」の意味・わかりやすい解説

フレマールの画家
ふれまーるのがか
Maître de Flémalle フランス語

生没年不詳。15世紀ネーデルラントの逸名画家ヤン・ファン・アイク、ロヒール・ファン・デル・ワイデンと並ぶ初期ネーデルラント絵画の第一世代に属する。リエージュ近郊の、いわゆる『フレマール修道院祭壇画』と伝えられる3枚の板絵(フランクフルト、シュテーデル美術館)にちなんでこうよばれ、『メローデ祭壇画』やディジョンの『聖誕』を中心とする作品群が同画家に帰される。ワイデンとの様式的類似から、その師トゥールネーのロベルト・カンピンとする説が近年有力である。ヤンと同じくもっとも早く油彩画技法に習熟した画家。空間よりも画平面への意識が強く、鮮やかな色彩で対象の細密描写を実現する一方で、風景や光の処理では鋭い自然観察を示している。

[保井亜弓]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フレマールの画家」の意味・わかりやすい解説

フレマールの画家
フレマールのがか
Master of Flémalle

1430年頃活躍したフランドルの画家。フレマールの修道院にあったと思われる祭壇画 (フランクフルトアムマイン,シュテーデル美術研究所) にちなんで呼称される。活躍はヤン・ファン・アイクよりも早く,ネーデルラント・ルネサンスの開拓者ともいえる。この画家を R.ワイデン,または R.カンパンとする説がある。作品は『メローデの祭壇画』 (1425~28頃,ニューヨークメトロポリタン美術館) ,『ウエールの祭壇画』 (30年代後半,プラド美術館) 『暖炉衝立前の聖母』 (ロンドン,ナショナル・ギャラリー) などがあるが決定的な学説はない。

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