日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラックストン」の意味・わかりやすい解説
ブラックストン
ぶらっくすとん
Sir William Blackstone
(1723―1780)
18世紀イギリスの法律家。ロンドンに生まれ、オックスフォード大学を卒業した。1746年にバリスター(弁護士の一種)となり、1753年、イギリス法学教育史上初めてオックスフォード大学でイギリス法の講義をした(それまでは大学ではローマ法の講義が行われていたにすぎない)。これは、当時にあっては大冒険であったが、成功を収めた。この成功をみた人がイギリス法の講義のために遺産を寄付した。その寄付講座(バイナー講座として今日でも有名)は1758年に開講し、ブラックストンが最初の担当者に推された。彼は、この年(1758)から1766年まで講義を行い、それを基礎に『イギリス法釈義』Commentaries on the Laws of Englandという4巻からなる大著を物するようになった。その第1巻は1765年に出版され、第4巻は1769年に完成した。この著作はそれまでの判例法を中心としたイギリス法を体系化し、その後のコモン・ローの発展、とりわけアメリカ法の発展に計り知れない影響を与えた。著書には、これ以外に、『イギリス法の分析』(1754)などがある。
[堀部政男]