日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラッシノキ」の意味・わかりやすい解説
ブラッシノキ
ぶらっしのき
bottle brush
[学] Callistemon speciosus (Sims) DC.
フトモモ科(APG分類:フトモモ科)の常緑低木または小高木。高さ3~6メートル。枝はやや細く、曲がりやすい。葉は互生し、披針(ひしん)形で長さ4~8センチメートル、先はとがり、全縁で革質。新葉は絹毛がある。5~6月、新枝の下部に長さ10~15センチメートルの穂状花序をつける。萼片(がくへん)、花弁ともに5枚で小さい。雄しべは約50本、濃紅色で美しく、長さ約3センチメートルの長い花糸が目だつ。果実は枝の周囲に虫の卵のように多数つき、扁平(へんぺい)な球形で径約6ミリメートル、上部はへこみ、褐色に木質化して、いつまでも落ちない。オーストラリア原産。名は、英名のボトル・ブラッシュと同じ意味で、花序が瓶を洗うブラシに似るのでいう。
本属の植物はカリステモンまたはブラッシノキとも総称され、オーストラリアに約40種分布する。日本には明治中期に数種が輸入された。ほかに、葉が線形または狭披針形で細く、花は濃紅色のマキバブラッシノキやハナマキ(キンポウジュ)などが、観賞花木として栽培される。繁殖は実生(みしょう)、挿木、取木により、実生の場合は2~3年目の枝の果実がよい。関東地方南部以西の暖地で栽培し、日当りのよい、やや乾いた所が適地である。
[小林義雄 2020年8月20日]