ブリッジズ(Calvin Blackman Bridges)
ぶりっじず
Calvin Blackman Bridges
(1889―1938)
アメリカの細胞遺伝学者。ニューヨーク州の生まれ。コロンビア大学卒業後、カーネギー研究所などで研究を行った。ショウジョウバエ研究の創始者の一人で、T・H・モーガンの門下の逸材。遺伝形質の発現における染色体の役割を明らかにし、近代遺伝学の概念の体系化を導いた。ショウジョウバエの伴性遺伝子がX染色体上に存在することを染色体の不分離によって直接証明し、遺伝の染色体説の証拠としての不分離や、欠失、重複、組換えと交差、転座などを細胞学的に明らかにした。また、遺伝子の組換え頻度に基づいて作成された連鎖地図と唾腺(だせん)染色体の縞(しま)模様による細胞学的地図との関係を明らかにした。アメリカ科学アカデミー会員。著書に『メンデル遺伝の機構』(1915)、『ショウジョウバエの伴性遺伝』(1919)、『キイロショウジョウバエの遺伝学への貢献』(1919.1923)、『ショウジョウバエの遺伝学』(1925)などがある。
[黒田行昭]
ブリッジズ(Robert Seymour Bridges)
ぶりっじず
Robert Seymour Bridges
(1844―1930)
イギリスの詩人。ケント州に生まれ、オックスフォードに学ぶ。医者となったが、のち詩作に転じ、第一詩集『詩編』(1873)以降、数多くの詩集・詩劇を発表し、また散文の著作も多い。代表作に長編詩『美の遺言』(1929)がある。名声は比較的遅く訪れたが、1913年には桂冠(けいかん)詩人に叙せられた。G・M・ホプキンズの終生の友として、彼の死後、詩集を編纂(へんさん)刊行したことも忘れがたい功績であろう。
[沢崎順之助]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリッジズ
Robert Bridges
生没年:1844-1930
イギリスの詩人。1913年より没年まで桂冠詩人。オックスフォード大学卒業後,医学を学んで医師となったが,やがて詩作に専念。代表作は彼の人生哲学を開陳した長詩《美の遺言》(1929)で,これをルクレティウスの《事物の本性について》と比較する批評家もいるが,思想の深さが技巧の洗練に及ばないという批判もある。初期の詩《愛の成長》(1876),《エロスとプシュケー》(1885)のほか,《短詩集》(1890)もある。《ミルトンの韻律》(1893)や《キーツ論》(1895)などの評論は韻律的技法への高度の関心の産物であるが,彼の最大の業績はまったく無名であった友人G.M.ホプキンズの詩集を編集刊行(1918)したことであろう。これによってホプキンズは現代詩に大きな影響を与えることになったが,皮肉にもブリッジズ自身は友人の革新性を十分に理解していなかったと思われる。
執筆者:高橋 康也
ブリッジズ
Calvin Blackman Bridges
生没年:1889-1938
アメリカの遺伝学者。ニューヨーク生れ。コロンビア大学卒。カーネギー研究所勤務。T.H.モーガンおよびその弟子スタートバントA.H.Sturtevantに師事し,ショウジョウバエ遺伝学を研究。とくに伴性遺伝現象を研究し,その遺伝子がX染色体に存在することを確認。遺伝的平衡説の確立,唾腺(だせん)染色体による遺伝子の位置の調査などで活躍。
執筆者:鈴木 善次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ブリッジズ
Bridges, Robert (Seymour)
[生]1844.10.23. ケント,ウォールマー
[没]1930.4.21. オックスフォードシャー,ボアズヒル
イギリスの詩人,批評家。韻律の技巧にすぐれ,言葉の音楽美に細心の注意を払った。『短詩集』 Shorter Poems (5巻,1890~94) ,『新詩集』 New Poems (1929) ,長詩『美の遺言』 The Testament of Beauty (29) などが代表作。また『ミルトンの詩法』 Milton's Prosody (1893) ,『ジョン・キーツ』 John Keats (95) など多くのすぐれた評論を書いた。 G.M.ホプキンズの友人で,彼との往復書簡集も重要。また英語の改良を目指した「純粋英語協会」を創設した。 1913年桂冠詩人。
ブリッジズ
Brydges, Sir Samuel Egerton
[生]1762.11.30. ケント,ウットンハウス
[没]1837.9.8. ジュネーブ近郊
イギリスの書誌学者,系譜学者。初め法廷弁護士になり,のち職を捨てて静かな田園生活に入り,詩や小説も書いたが,特にイギリスの古書の調査,研究,復元の仕事 ("Censura Literaria"10巻,1805~09) によって書誌学に貢献した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ブリッジズ
英国の詩人。医師から詩作に転じ,1913年桂冠詩人になる。韻律美しく自然をうたった秀作を含む《短詩集》(1873年―1893年)や哲学的な長詩《美の遺言》(1929年)などが代表作。また詩人G.M.ホプキンズを世に紹介。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
世界大百科事典(旧版)内のブリッジズの言及
【遺伝子】より
…その後,酵素はもちろんのこと,酵素以外のタンパク質の生産も遺伝子の直接的支配下にあること,およびタンパク質の多くは複数の同種あるいは異種ポリペプチドからなることがわかってきたため,一遺伝子一酵素説は一遺伝子一ポリペプチド説に修正・拡張されることになった(ハルトマンP.E.Hartman,1965)。
[遺伝子の古典概念]
一方,ベリングJ.Belling(1928)らにより太糸期染色体が染色小粒とそれをつなぐ糸状部分からなる数珠状構造を示すこと,およびC.B.ブリッジズ(1935)らにより[唾腺(だせん)染色体]が染色性の高い横縞部分と染色性の低い介在部分からなることが明らかにされ,染色小粒や横縞が遺伝子に対応するという考えが生まれた。この考えは偽対立遺伝子の組換えや遺伝子の突然変異機構の研究成果をふまえ,遺伝子は機能(すなわち形質の支配)・組換え・突然変異という三つの現象に共通な基本単位であるとするグリーンM.M.Green(1955)らの《遺伝子の統一概念》へと発展した。…
【間性】より
…ショウジョウバエでは生殖細胞のX染色体が減数分裂に際して均等に分かれない結果,子に常染色体の組の数と性染色体の数のいろいろな組合せをもつ個体が生じることがある。ブリッジズC.B.Bridgesは,この現象を,X染色体に雄化遺伝子が,常染色体に雌化遺伝子があり,雌雄はX染色体の数と常染色体の組の数の比(性指数)によって決まると考え,この値が正常の雄と雌の中間のとき間性になると説明した(平衡説)。また,マイマイガは日本産のものとヨーロッパ産のものを交配すると間性を生じる。…
※「ブリッジズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」