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桂冠詩人 けいかんしじんpoet laureate

翻訳|poet laureate

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

桂冠詩人
けいかんしじん
poet laureate

イギリス王室の属員として給料を受け,国家王室の大事に際して,慶弔の詩を詠むことを任務とする詩人の称号。元来はすぐれた詩人に対して,オックスフォード,ケンブリッジ両大学から与えられる称号であったが,17世紀に宮廷詩人をさすものに限定された。非公式にはベン・ジョンソンが最初とされているが,公式にはドライデンをもって初代 (1668) とする。ワーズワステニソンもこの地位にあった。 20世紀に入ってからは,A.オースティンブリッジズメースフィールド,デイ=ルイス,ベッチェマンがその任にあたる。現在ではほとんど名誉職で,国事慶弔の詠詩も義務とされていない。なお,14世紀のイタリアでは,古代ギリシアにならって月桂樹の冠を授与して詩人をたたえる行事が行われていた。 1315年パドバのムッサートに与えられたのが最初で,その後ダンテも望んだが果さず,41年にペトラルカがローマのカピトルの丘でその栄に浴した。

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デジタル大辞泉の解説

けいかん‐しじん〔ケイクワン‐〕【×桂冠詩人】

英国で、王室が最高の詩人に与える称号。現在は終身制の名誉職で、年俸を与えられる。古代ギリシャで、すぐれた詩人に月桂冠を授けた故事に基づく。ジョンソンドライデンワーズワースなどが選ばれている。桂冠詩宗(しそう)。欽定(きんてい)詩宗。

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百科事典マイペディアの解説

桂冠詩人【けいかんしじん】

名誉の印としてゲッケイジュの冠をいただいた詩人をいう。古代ギリシアに発し,中世ではペトラルカがその一人。英国では国家の名誉職として制度化され,1670年にドライデンが最初に任命された。
→関連項目ヒューズブリッジズメースフィールド

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世界大百科事典 第2版の解説

けいかんしじん【桂冠詩人】

本来は詩作における勝利者のしるしとしての,ゲッケイジュの冠を戴いた詩人の意。ギリシア・ローマ時代には詩作も体育競技とならんで公開の競技である場合が多く,その勝利者には詩神アポロンにゆかりのゲッケイジュの枝を編んだ冠が授けられた。中世からルネサンスにかけてのイタリア人もこれを意識しており,ダンテ,ペトラルカ,タッソらが,その時代第一流の詩人として〈月桂樹を戴く者〉に擬せられたりした。 しかし,これをはっきり制度化したのは近世イギリスであって,17世紀後半以来〈ポエット・ローリイットpoet laureate〉と呼ばれて王室の一つの役職となっている。

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大辞林 第三版の解説

けいかんしじん【桂冠詩人】

(古代ギリシャですぐれた詩人に月桂冠を与えたことから)イギリスで国王から任命され、王室の慶弔に公的な詩をつくることを義務とした詩人。現在は慶弔の詩は任意となり、終身年俸を与えられる名誉職。欽定きんてい詩宗。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

桂冠詩人
けいかんしじん
Poet Laureate

イギリスの名誉ある詩人の称号。中世以来ヨーロッパにおいて、名声ある詩人は、多く王室もしくは貴族によって保護されてきた伝統をもつ。ルネサンス期イギリスでは、たとえばスケルトンのごとく、当代第一の詩人として諸大学によって選ばれた詩人にこの称号は贈られたが、今日みられるように王室に関係ある詩人職として制定されたのは、実質的に1616年ジェームズ1世によってベン・ジョンソンが選ばれたことに始まる。公式には1668年にドライデンが任命され、年金300ポンドおよびカナリア諸島産ぶどう酒を授かった。その後、サウジー、ワーズワース(ワーズワス)、テニソンらから、20世紀に入っては、R・S・ブリッジズ、メースフィールドを経てデー・ルイス、さらにベッチマン、テッド・ヒューズらが選ばれている。しかし、桂冠詩人かならずしも大詩人ではなく、以上にあげたもののほかは、その多くがほとんど無名に近い群小詩人として名をとどめるにすぎない。現在は宮内官として一定の年俸を支給され、前任者が死亡したとき、政府によって推薦される終身制をとっている。王室の慶弔あるいは国家的行事や重大事に際して、詩をつくることを義務としているが、いまはそれも任意となり、かならずしも義務づけられていない。[上田和夫]
『小泉博一著『イギリス桂冠詩人』(1998・世界思想社)』

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世界大百科事典内の桂冠詩人の言及

【ゲッケイジュ(月桂樹)】より

…ローマ時代には見習いの若い医師が万能薬のゲッケイジュを頭に飾る習慣があったといい,中世には大学で修辞学と詩学の修了者が桂冠を授与された。イギリスの桂冠詩人もこの伝統にのっとっている。花言葉は〈栄誉と勝利〉〈幸運と誇り〉。…

※「桂冠詩人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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