ブーベ(読み)ぶーべ(英語表記)Joachim Bouvet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブーベ」の意味・わかりやすい解説

ブーベ
ぶーべ
Joachim Bouvet
(1656―1730)

フランス生まれのイエズス会士。漢名は白晋(はくしん)、白進。ルイ14世派遣の宣教師団の一人として1688年北京(ペキン)に入り、以後布教にあたるとともに宮廷で奉仕し、清(しん)の康煕(こうき)帝にユークリッド幾何学解剖学などを進講した。1694年いったんフランスに向かって中国を離れた。1698年多数のイエズス会士とともにフランス船で広州に到着した。『皇輿全覧図(こうよぜんらんず)』の作製にあたっては、モンゴル地方、長城一帯の測量を担当した。彼がフランス滞在中に公刊したのが『康煕帝伝』で、清朝史研究に欠かすことのできない名著である。

[矢澤利彦 2018年2月16日]

『後藤末雄訳、矢澤利彦校注『康煕帝伝』(平凡社・東洋文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブーベ」の意味・わかりやすい解説

ブーベ
Bouvet, Joachim

[生]1656.7.18.
[没]1730.6.28.
フランス出身のイエズス会宣教師。中国名は白進,白晋。康煕 26 (1687) 年,中国の寧波に到着したルイ 14世派遣のフランス宣教師団の一人として,翌年北京に入った。まもなく幾何学その他の学術によって康煕帝信任を得,多くのフランス宣教師の招聘を命じられた。このため同 32年に出発し,同 38年に 10人の宣教師を同伴して中国に帰着した。のち大規模な実測による『皇輿全覧図』 (1717完成) 作成に協力,著書のなかでは『康煕帝伝』 (1697) が,西洋人による中国皇帝観を知るうえで注目される。

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