プラトリーニ(読み)ぷらとりーに(英語表記)Vasco Pratolini

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プラトリーニ」の意味・わかりやすい解説

プラトリーニ
ぷらとりーに
Vasco Pratolini
(1913―1991)

イタリアの小説家。フィレンツェ生まれ。印刷工、工員など数多くの職業を経て、1938年に『カンポ・ディ・マルテ』誌を創刊。41年に、エルメティズモの影響を残す短編集『緑の絨毯(じゅうたん)』を発表。45年の『界隈(かいわい)』は、反ファシズムの体験をフィレンツェの労働者の目でとらえた作品で、後の『貧しき恋人たち』(1947)へ続く。『メテッロ』(1955)、『浪費』(1960)、『寓意(ぐうい)と愚弄(ぐろう)』(1966)からなる三部作『あるイタリアの歴史』は、題名の示すとおり、それぞれ19世紀末の社会主義の台頭ファシストローマ進軍、戦後の政治状況と、そのなかで抜き差しならぬ生き方を迫られた若者たちを描いた、ネオレアリズモの一大叙事詩である。ほかに『家族日誌』(1947)、『現代英雄』(1949)などがある。

[望月紀子]

『大久保昭男訳『現代イタリアの文学4 現代の英雄・家族日誌』(1969・早川書房)』『大久保昭男訳『貧しき恋人たち』上下(1979・新日本出版社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プラトリーニ」の意味・わかりやすい解説

プラトリーニ
Pratolini, Vasco

[生]1913.10.19. フィレンツェ
[没]1991.1.12. ローマ
イタリアの小説家。貧しい家に生れ,早くから自立し,印刷工員となって独学した。 E.ビットリーニ親友となり,1939年『カンポ・ディ・マルテ』誌を創刊したが,ファシスト政権により9ヵ月で発刊を禁じられた。一貫してリアリズム立場から,人間のおかれた社会的条件を描くことに最大の努力を払っている。主著『町』 Il quartiere (1944) ,『貧しき恋人たち』 Cronache di poveri amanti (47) ,『あるイタリア史』 Una storia italiana (66) 。

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