プロトポルフィリン

化学辞典 第2版 「プロトポルフィリン」の解説

プロトポルフィリン
プロトポルフィリン
protoporphyrin

C34H34N4O4(562.67).プロトポルフィリンⅨともいう.ポルフィリンの一種.血液および植物色素の前駆物質であり,側鎖の配置による15種類の異性体が考えられるが,プロトポルフィリンⅨだけが天然にみられる.鉄(Ⅱ)錯塩であるプロトヘムは生理的に重要である.ヘミンを脱鉄すると得られる.褐黄色の結晶.両性電解質で,氷酢酸鉱酸に易溶,アルカリに可溶.光に対してきわめて不安定で,一般には,ジメチルエステル(融点228~230 ℃)として用いられる.λmax 601,556,409 nm(25% 塩酸).400 nm 付近の励起光の照射により赤色の強い蛍光(600 nm 付近)を発する.Fe以外にも,Mg,Co,Zn,Mnなどと結合して,種々の金属プロトポルフィリンを形成する.二ナトリウム塩(融点 > 300 ℃)は赤紫色の結晶性粉末で,肝機能障害,慢性肝炎,肝硬変の治療薬に用いられる.[CAS 553-12-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロトポルフィリン」の意味・わかりやすい解説

プロトポルフィリン
ぷろとぽるふぃりん
protoporphyrin

ポルフィリン環の各ピロール環に3種類の側鎖が結合したポルフィリン誘導体。15個の異性体が存在するが、生物学的に重要なのは、プロトポルフィリンⅨである。プロトポルフィリンの二価鉄錯塩はプロトヘムとよばれ、ヘモグロビンの色素部分である。プロトポルフィリンは、チトクロムなどのヘム合成系とクロロフィル合成系が分岐する代謝経路上の物質で、鉄が配位するとヘム合成に、マグネシウムが配位するとクロロフィル合成へと進む。生体内ではグリシンコハク酸からつくられるが、緑色植物ではグルタミン酸から生合成されるといわれている。

吉田精一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典 「プロトポルフィリン」の解説

プロトポルフィリン

 ポルフィリン誘導体で,プロトヘムの鉄を除いた部分にあたる.15種類の異性体があるが,天然にはそのうち1種が存在する.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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