日本大百科全書(ニッポニカ) 「臍ヘルニア」の意味・わかりやすい解説
臍ヘルニア
さいへるにあ
臍帯(へその緒)は出生と同時に結紮(けっさつ)され、生後1週前後で乾燥して脱落するが、臍帯が脱落した跡の臍輪はしばしば閉鎖が不完全で、大声で泣いたりいきんだりして腹圧が加わると、臍輪から皮膚に覆われた腸管が突出してくる。これを臍ヘルニアといい、俗に「出べそ」ともよばれるが、発生異常で臍帯内に腸管が脱出している臍帯ヘルニアとは異なる。
生後1~2週で発生し、5~6か月ころまでに自然に治癒することが多い。程度に差はあるが、新生児の5~10%にみられるといわれ、未熟児、とくに極小未熟児では高率にみられ80%に達する。放置しても前述のように自然治癒することが多いので、治療は原則としては行わない。硬貨を当てて絆創膏(ばんそうこう)で固定するのは、接触皮膚炎をおこしたりして益がない。ただし、非常に高度なものに対しては特殊な絆創膏固定が考慮され、2、3歳になっても治癒しない場合は手術が考慮される。
[山口規容子]