ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘルマンダー」の意味・わかりやすい解説
ヘルマンダー
Hörmander, Lars V.
[没]2012.11.25. ルンド
スウェーデンの数学者。フルネーム Lars Valter Hörmander。ルンド大学を卒業後,1955~57年ルンド大学,1957~64年ストックホルム大学,1963~64年アメリカ合衆国のスタンフォード大学で教鞭をとる。1964年から 1968年までプリンストン高等研究所 IASで研究生活を送り,1968年からルンド大学に戻り教授を務める。1962年にスウェーデンのストックホルムで開催された国際数学者会議で,偏微分方程式に関する業績によりフィールズ賞を受賞した。1988年にはウルフ賞を受賞。最も代表的な業績は,フーリエ解析(→フーリエ)による超関数理論の確立で,これはローラン・シュワルツによる超関数の概念を拡張したものである。また,線形偏微分方程式論における,擬微分作用素とフーリエ積分作用素の理論の発展にも大きく貢献した。擬微分作用素とは,フーリエ変換を用いた微分作用素の一般形である。その他の業績は,多変数複素解析学,調和解析,ナッシュ=モーザーの陰関数定理(→ナッシュ),散乱理論,非線形双曲型方程式,準楕円型偏微分方程式など,解析学の広範な分野にわたる。また,ヘルマンダーの研究を基礎として,超局所解析と呼ばれる分野が創成された。
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