ドイツの詩人ゲーテの叙事詩。1797年刊行。ライン川畔の旅館の息子ヘルマンは、フランス革命の動乱を逃れる難民たちのなかでけなげに働く娘ドロテーアを見そめる。父親は初めそれに反対するが、愛情と理解に富む母親や隣人たちの良識あるとりなしで、2人はめでたく結ばれることになる。激動の時代を背景にしながら変わらぬ健全な人間性の世界を描き出したこの牧歌的な作品は、ゲーテの古典主義の思想をよく示すもので、全体を九つの歌に分け、ヘクサーメターの詩形(強弱弱六歩格)でまとめているところにも、古代ギリシアに倣おうとする作者の芸術意志をうかがうことができる。各人物が個性味豊かにしかも典型的に描き分けられているが、それを通じて、革命に対するゲーテの保守的態度がみられ、それが様式の完全さにもかかわらず、評価の分かれるところである。
[小栗 浩]
『佐藤通次訳『ヘルマンとドーロテーア』(岩波文庫)』▽『国松孝二訳『ヘルマンとドロテーア』(新潮文庫)』
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