北アフリカ,西南アジアの原産で,日本では温室に栽培されるミソハギ科の低木。一名シコウカ(指甲花)ともいう。幹は高さ3~6mに達し,樹皮は浅く縦に裂け,緑褐色で,多く分枝し,枝先には小さいとげがある。葉は対生し,卵形または卵状楕円形,先がとがる。花は径7mmくらいで小さいが,芳香があり,花から香油をとる。花弁は4枚,普通白色であるが,淡紅色,淡緑色のものもある。花序は円錐形。果実は蒴果(さくか)で多くの種子がある。葉にはローソンlawsoneを含み,葉を粉末にしたものをヘンナ染料と呼び,黄色の染料および顔料として古くから用いられた。繁殖は実生および挿木による。熱帯地方では広く栽培され,生垣などにも用いられるが,日本では温室で観賞用に鉢植えとして栽培される。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…そのためつねに500頭のロバを飼い,旅行するときも50頭のロバを連れていったという。昼間は鉛白や胡粉の白粉をぬり,コールとよばれる黒い粉で目を縁どり,ヘンナ(熱帯樹の葉でつくった赤味がかったオレンジ色の染料)や辰砂で唇やほおを彩っていた。ルネサンスを迎えると,化粧はいちだんと発達し,スイスの医学者パラケルススは,医学と錬金術をまぜあわせた膨大な医書のなかで化粧品の製法を数多く発表した。…
…古代ギリシア・ローマではブロンドの髪が好まれ,羊の脂とブナの木の灰を混ぜた〈サポ〉をすり込み,洗い落としたあと,太陽にさらして金髪になるのを待ったという。黒や褐色に染めるためには,古くからヘンナの葉,カミツレの花,クルミの殻,ビンロウジュの実などが用いられていた。なかでもヘンナは単独では刺激は少ないが,赤みがかった褐色に染まるので,他の植物や金属塩と併用していろいろな色調を出すのに広く使われていた。…
※「ヘンナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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