ベストリス(英語表記)Auguste Vestris

改訂新版 世界大百科事典 「ベストリス」の意味・わかりやすい解説

ベストリス
Auguste Vestris
生没年:1760-1842

パリ生れの舞踊家。ガエタノ・ベストリスと舞姫マリー・アラールの庶子。父に踊りを学んだが,舞踊家としては父をしのぐ力をみせ,パリ・オペラ座の第1舞踊手として36年間踊った。彼はピルエット(回転)やグラン・ジュテ(大きな跳躍)などで観客を魅了した。教師としてもすぐれており,ペローブルノンビルディドロ,エルスラーら第1級の踊り手を養成した。父のガエタノ・ベストリスGaetano Vestris(1729-1808)はフィレンツェの生れ。1748年パリ・オペラ座に入り,51年デュプレの引退後第1舞踊手として活躍した。67年オペラ座舞踊学校校長に,70年にはメートル・ド・バレエ(主任振付師)の地位についた。数多くの振付があるが,彼はむしろ踊り手としてすぐれていた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベストリス」の意味・わかりやすい解説

ベストリス
べすとりす
Gaetano Vestris
(1729―1808)

イタリア生まれの舞踊家。フィレンツェに生まれる。L・デュプレに学び、パリ・オペラ座に入団ソリストとなる。優れたテクニックをもち、「舞踊の神」とよばれた。J・G・ノベール振付けの『メディアとジアソン』で、従来の慣習であった仮面を初めて着けずに踊ったといわれる。息子オーガストAuguste Vestris(1760―1842)もパリ・オペラ座の第一舞踊手として長年活躍、ピルエット(旋回)や跳躍に優れた才能を示した。姉のテレサ、弟アンジオロ、孫のアルマンも舞踊家で、ベストリス家は舞踊家の一族として有名。

市川 雅]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベストリス」の意味・わかりやすい解説

ベストリス
Vestris, Gaetano Apolline Baldassare

[生]1729.4.18. フィレンツェ
[没]1808.9.23. パリ
イタリア生れの舞踊家。父をはじめ姉弟,息子,孫も舞踊家である一家のなかで最も知られる。 1751年パリ・オペラ座の第1舞踊手になったが,バレエ・マスターと刃傷沙汰を起し,やめさせられた。 56年に復帰し,踊りの精確さと威厳に満ちた態度から「舞踊神」と呼ばれ,人気を博した。シュツットガルトで J.ノベールと仕事をし,このすぐれた振付師をパリに引戻し,『メディア』を作らせた話は有名。息子オーギュストもすぐれた舞踊家で,後年「舞踊神」の名を受継いだ。

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