ベリサリオス(英語表記)Belisarios

精選版 日本国語大辞典 「ベリサリオス」の意味・読み・例文・類語

ベリサリオス

  1. ( Belisarios ) 東ローマ帝国のユスティニアヌス一世の将軍アフリカバンダル族を討ち、南イタリア・シシリーを攻略東ゴート王国征服し、西ローマ領の回復実現に貢献した。ベリサリウス。(五〇五頃‐五六五

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改訂新版 世界大百科事典 「ベリサリオス」の意味・わかりやすい解説

ベリサリオス
Belisarios
生没年:505ころ-565

ビザンティン帝国皇帝ユスティニアヌス1世片腕となった名将。皇后テオドラの親任厚いアントニナが妻。プロコピウスの《戦記》で戦功をたたえられる。対ペルシア戦の指揮のほか,〈ニカの反乱〉(532)で皇帝の危急を救い,とくにユスティニアヌス1世の西方再征服ではアフリカのバンダル族(533-534),イタリアの東ゴート族(535-540)に対する遠征軍を指揮,いったん召喚された後ナルセスNarsēs(478ころ-573)と交代するまで対ゴート戦を続行(544-548)した。

 13~14世紀のパライオロゴス朝時代に,彼を主人公として,その生涯とは無関係にビザンティン民衆文学作品《ベリサリオスの歌》(15音節詩)が成立。民衆の希望を担い,皇帝から託された困難な使命(コンスタンティノープル城壁建設,イギリス遠征,息子による侵入ペルシア軍の撃退)を落度なく果たしながら,そのつど,ねたみにそそのかされた貴族からの讒言ざんげん)で皇帝から不興を買って,ついに,片手に物乞い皿,片手に杖の盲人となった主人公のイメージは,19世紀にもなお作曲家,画家,詩人の創作欲をかきたてた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベリサリオス」の意味・わかりやすい解説

ベリサリオス
べりさりおす
Belisarios
(500ころ―565)

ビザンティン帝国ユスティニアヌス1世麾下(きか)の名将。その生涯は彼の顧問官である歴史家プロコピオスの作品に詳しい。メソポタミアの軍司令官(527)を皮切りに、対ペルシア戦に二度(530~531、541~543)指揮をとった。皇帝の旧ローマ西方領の回復という政治目標のためアフリカに転戦(533~534、544~548)、そこからイタリアに赴き(535~540)、東ゴート人を破った(544~547)。その間首都の市民による「ニカの乱」を鎮圧(532)。548年イタリアから帰り引退。その後、皇帝暗殺事件に関係ありとされ、一時皇帝の不興を買うがすぐに嫌疑が晴れる。死後この英雄をしのんで多くの英雄詩や小説が書かれた。

[和田 廣]

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百科事典マイペディア 「ベリサリオス」の意味・わかりやすい解説

ベリサリオス

ビザンティン帝国の軍人。皇帝ユスティニアヌス1世に仕え,ペルシアの侵入を退け,アフリカに遠征してバンダル王国を征服,さらにイタリアで東ゴート王国と戦った。その間ペルシアの侵入を再度撃退するなど,帝国拡大に功をあげた。13―14世紀にその生涯とは無関係に民衆文学作品《ベリサリオスの歌》の主人公となった。
→関連項目プロコピウス

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旺文社世界史事典 三訂版 「ベリサリオス」の解説

ベリサリオス
Belisarios

505ごろ〜565
東ローマ帝国の将軍
ユスティニアヌス1世に仕え,ササン朝を撃退。ニカの反乱鎮圧に活躍して信を得る。ヴァンダル王国・東ゴート王国を討ち,シチリア・南イタリア・ローマ・ラヴェンナを攻略して,帝国領土を広げた。

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世界大百科事典(旧版)内のベリサリオスの言及

【東ゴート王国】より

…その結果,政権を握ったのがゴート人の将軍ウィティギスVitigisであった。だが名将ベリサリオスの率いるビザンティン軍は南部から上陸し,この年の暮れにローマに入り,イタリアを帝国に再び編入した。これによって東ゴート王国は解体する。…

※「ベリサリオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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