日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベリサリオス」の意味・わかりやすい解説
ベリサリオス
べりさりおす
Belisarios
(500ころ―565)
ビザンティン帝国ユスティニアヌス1世麾下(きか)の名将。その生涯は彼の顧問官である歴史家プロコピオスの作品に詳しい。メソポタミアの軍司令官(527)を皮切りに、対ペルシア戦に二度(530~531、541~543)指揮をとった。皇帝の旧ローマ西方領の回復という政治目標のためアフリカに転戦(533~534、544~548)、そこからイタリアに赴き(535~540)、東ゴート人を破った(544~547)。その間首都の市民による「ニカの乱」を鎮圧(532)。548年イタリアから帰り引退。その後、皇帝暗殺事件に関係ありとされ、一時皇帝の不興を買うがすぐに嫌疑が晴れる。死後この英雄をしのんで多くの英雄詩や小説が書かれた。
[和田 廣]