ペチュニア(読み)ぺちゅにあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペチュニア」の意味・わかりやすい解説

ペチュニア
ぺちゅにあ
[学] Petunia

ナス科(APG分類:ナス科)の半耐寒性一年草または多年草。南アメリカ、メキシコ、北アメリカ南部に40種分布する。和名ツクバネアサガオ衝羽根朝顔)は園芸交雑種P. × hybrida Vilm.-Andr.につけられたもの。現在の園芸品種はアルゼンチン産で白花のアクシッラリスP. axillaris B.S.P.と濃紫色花のビオラケアP. violacea Lindl.との種間雑種を育成したのに始まる。以来、多彩な品種が育成された。変異が大きく、草丈20センチメートルの矮性(わいせい)種から40センチメートルを超す高性(こうせい)種まである。花形アサガオに似た漏斗(ろうと)形で、花弁の縁(へり)が平らな平弁と、波打つ波状弁とがあり、一重のほかに八重咲きもある。花径は3センチメートルの小輪から13センチメートルの巨大輪まで変化が大きい。花色は白、緋赤(ひせき)、青紫、淡黄などの単色と、赤・桃・紫に白が混じる絞り咲き、星模様の星咲き、白覆輪、淡色地に紫や紫紅色の網目模様の入るものなどがあり、多彩である。

[植村猶行 2021年7月16日]

栽培

種子はサクラの花の終わるころに播(ま)く。種子はごく小さいもので、厚播きにならないようにし、覆土はしない。双葉が完全に開いたら3~4センチメートル間隔で移植箱に移す。本葉が6、7枚になったら、花壇なら25~30センチメートル間隔に、鉢なら3、4号鉢に1株ずつ定植する。花壇は日当りと水はけのよい場所を選び、肥料は十分に与える。連作障害が出やすいので、毎年植え場所をかえる。また他のナス科植物との連作も避けたほうがよい。

[植村猶行 2021年7月16日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペチュニア」の意味・わかりやすい解説

ペチュニア
Petunia hybrida; common garden petunia

ナス科の一年草。本来は属の名であるが,通常はこの属のうちアルゼンチン原産の P. axillarisP. violaceaとを交配してつくった園芸品の総称として使われる。同じく総称としてツクバネアサガオの和名もあるが,現在ではあまり使われない。したがって植物体の大きさ,葉や花の形態や色などは非常に変化が多い。共通の特徴は次のようである。茎は直立し多くの枝を出すが,ときにつる状になり,葉とともに粘りけのある細毛を密生する。葉は対生し卵形で,下部のものは葉柄をもつ。夏に,葉腋から花柄を伸ばし漏斗状アサガオに似た花をつける。花色は紫,紅,桃,白など変化があり,絞りや斑紋があるもの,八重咲きなどもある。和名は花形により,属名はブラジル語のタバコの意からつけられた。

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