改訂新版 世界大百科事典 「ペレーダ」の意味・わかりやすい解説
ペレーダ
José María de Pereda
生没年:1833-1906
スペインの小説家。サンタンデルの名門の出で,一時マドリードへ出て軍人を志したが,まもなく郷里へ戻り,農園の管理をしながら文学活動にはげむ。旧家の生れの彼は敬けんなカトリック教徒で,伝統主義の立場を堅持し,カルリスタの代議士も務めた。彼の小説は物語の筋よりも情景描写に重点を置き,テーマをほとんど郷土に求め,農民や漁民の生活をありのままに描いた郷土小説の典型的な作家である。《ソティレーサ》(1885)では孤児の少女を主人公にして,カンタブリア海の漁民を描き,《岩山のかなた》(1894)では山岳地帯の農村を舞台にしており,迫真性に富み,精緻を極めた情景描写で,ともに傑作とされる。悪者小説の新解釈ともいえる《ペドロ・サンチェス》(1883)は珍しくマドリードを舞台にしたもので,作者の学生時代の自伝的色彩を漂わせた作品である。
執筆者:志賀 一郎
ペレーダ
Antonio de Pereda y Salgado
生没年:1608ころ-78
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報