ホット・ラボ(読み)ほっとらぼ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホット・ラボ」の意味・わかりやすい解説

ホット・ラボ
ほっとらぼ

放射性物質取扱い施設のことをホット・ラボラトリーhot laboratoryあるいは略してホット・ラボという。原子力の分野では、放射能レベルが高いことを定性的にホットというが、ホット・ラボで取り扱う放射能は、通常の研究室で取り扱う放射能よりも桁(けた)違いに強い。

 原子炉燃料や材料の研究を行うには、燃料あるいは材料試料をカプセルに収め、原子炉の炉心中性子を照射して、物性変化や機械的変化などを調べる必要がある。原子炉で中性子照射したカプセルは放射能が強く、原子炉からの取り出し、運搬解体、試験などにはとくに注意を払う必要がある。

 ホット・ラボには、コンクリートあるいは鉛で遮蔽(しゃへい)されたケーブとよばれる小室(縦・横・高さとも約4メートル)がいくつもあり、カプセルの解体、試料の取り出し、各種試験を効率よく行うことができる。ケーブ内は放射能が強いため、試験はすべてマニピュレーターを使って遠隔操作で行われる。材料試験炉のように、原子炉とホット・ラボをカナル運河)でつなぎ、カプセルの運搬を容易にしている研究施設もある。

桜井 淳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホット・ラボ」の意味・わかりやすい解説

ホットラボ
hot laboratory

強力な放射線を安全に扱える実験室のこと。放射線源の強さが 50mCi (ミリキュリー) 以上,すなわち 1.85× 10 9Bq (ベクレル) 以上になる実験室を,ホットラボということが多い。放射性物質の貯蔵室は十分に遮蔽・防護され気密状態になっており,マジックハンドのような遠隔操作装置を使って実験する。日本でも茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターをはじめ,大小 2000ヵ所近くある。

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