ホルトノキ(読み)ほるとのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホルトノキ」の意味・わかりやすい解説

ホルトノキ
ほるとのき
[学] Elaeocarpus sylvestris (Lour.) Poir.

ホルトノキ科(APG分類:ホルトノキ科)の常緑高木。大きなものは約20メートルになる。葉は互生し、倒披針(とうひしん)形または狭長楕円(だえん)形、厚く縁(へり)に鈍い鋸歯(きょし)があり、毛はない。晩春、前年枝の葉腋(ようえき)に総状花序をつくり、白色花を開く。萼片(がくへん)、花弁ともに5枚。花弁は倒卵状くさび形で、上半部は細裂する。雄しべは多数で花糸は短く、葯(やく)は細長くて先端に毛がある。雌しべは1本。核果は楕円形で長さ約1.5センチメートル、濃黒青色を帯びる。常緑樹林内に生え、関東地方南部以西の本州から沖縄、および朝鮮半島南部、中国中南部、ベトナムに分布する。名は、果実をオリーブの実と誤り、オリーブ油すなわち「ポルトガルの油」をとる木と思い違いしたことによる。また、鹿児島県の方言モガシという。樹皮枝葉染料に、材はシイタケ栽培の榾木(ほたぎ)に使う。

[古澤潔夫 2020年6月23日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホルトノキ」の意味・わかりやすい解説

ホルトノキ
Elaeocarpus sylvestris var. ellipticus

ホルトノキ科の常緑高木で,モガシの別名もある。アジア東部の暖温帯に生じ,西日本の暖地に自生する。幹は高さ 20mにもなり,葉は柄があって互生し,長楕円形で長さ 10cmぐらいになる。6月頃,総状花序を出し白色の小花を多数つける。萼片,花弁ともに5個,おしべは多数で花弁の先は糸のように裂けている。果実は核果で楕円体,長さ 15mmぐらいで黒青色に熟する。小笠原諸島には近縁の別種シマホルトノキ E. photiniaefoliusが,また火山列島 (硫黄島) にはチギ E. pachycarpusが分化している。

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